中国国家統計局が発表したデータによると、2025年の国内総生産(GDP)は速報値で140兆1879億元(約2900兆円)となり、物価変動を除く実質で前年比5.0%増加した。「第14次五カ年計画」の最終年として、政府目標の「5%前後」は達成したものの、四半期ベースでは成長率が徐々に鈍化しており、景気の先行きには不透明感が漂う。
第三次産業が成長を牽引
産業別に見ると、農林水産業にあたる第一次産業の付加価値額は9兆3347億元(前年比3.9%増)、鉱工業や建設業を含む第二次産業は49兆9653億元(同4.5%増)、サービス業などの第三次産業は80兆8879億元(同5.4%増)だった。第三次産業の力強い伸びが経済全体を牽引した形だ。
GDPに占める産業別割合は、第一次産業が6.7%、第二次産業が35.6%、第三次産業が57.7%となった。2025年のGDP成長率5.0%への寄与度は、最終消費支出(内需)が2.6%ポイント、総資本形成(投資)が0.8%ポイント、財・サービスの純輸出(外需)が1.6%ポイントだった。
四半期ごとに減速傾向が鮮明に
四半期別の実質GDP成長率は、第1四半期が前年同期比5.4%増、第2四半期が5.2%増、第3四半期が4.8%増、第4四半期が4.5%増と、期を追うごとに減速傾向が鮮明になった。中国メディアの新華社通信は、国内外の複雑な情勢に直面しながらも経済が安定を維持したと報じている。
また、2025年の年間1人当たりGDPは9万9665元(約205万円)で前年比5.1%増加。国民総所得(GNI)は139兆3700億元(同5.1%増)、全労働者生産性は1人当たり18万4413元(同6.1%増)となった。
日本企業への示唆
2025年の中国GDPが140兆1879億元に達し、政府目標を達成したことは、日本企業にとって複雑な影響をもたらす。まず、第三次産業が80兆8879億元と5.4%増で経済を牽引した点は、日本のサービス産業、特に観光やヘルスケア分野における中国市場の潜在的需要を示唆する。富裕層向けの高品質なサービス提供は、日本企業にとって新たな収益源となる可能性がある。
しかし、四半期ごとの成長率が第1四半期の5.4%から第4四半期の4.5%へと鈍化した事実は、中国経済の構造的課題と内需の脆弱性を浮き彫りにする。最終消費支出がGDP成長率に2.6%ポイント寄与したとはいえ、消費者の購買力や意欲が持続的に維持されるかには不透明感が残る。この減速傾向は、中国市場に過度に依存する日本企業、特に消費財メーカーにとってはリスクとなる。例えば、家電製品や自動車など、中国国内での販売が伸び悩む可能性を考慮し、サプライチェーンの多様化や新たな市場開拓を加速させる必要がある。
さらに、中国経済の減速は、日本の対中輸出全体に影響を及ぼす。特に、第二次産業の成長率が4.5%と第三次産業を下回っていることから、日本の資本財や中間財の対中輸出が伸び悩む懸念がある。日本企業は、中国の経済成長モデルが投資主導から消費主導へと移行する中で、自社のビジネスモデルを再評価し、中国市場における競争優位性を確保するための戦略を練り直す時期に来ている。