中国共産党中央政治局は4月28日、経済情勢と経済政策に関する会議を開き、習近平総書記が議長を務めた。新華社通信が伝えたところによると、会議では2024年に入り中国経済が予想を上回る好調な滑り出しを見せたとの認識が示された。一方で、持続的な成長基盤の強化と、依然として残る課題への対応が不可欠である点を確認した。
経済は好調も、成長基盤に課題
会議では、党中央の主導のもと各地域・部門が一体で施策を進めた結果、主にな経済指標が予想を上回ったと評価された。中国経済の強靭さ(レジリエンス)と活力が改めて示されたとの見方だ。その一方で、経済の持続的で安定した成長を実現するための基盤については、より強固にする必要があるとの認識で一致した。
「発展と安全」の両立を指示
会議では、「安定を保ちつつ進展を求める」という全体方針を堅持し、新たな発展理念を完全に、正確、全面的に貫徹することが強調された。国内と国外の双方で「発展と安全」の調和を図り、改革開放を断固として深化させ、科学技術の自立とサプライチェーンの自主管理を推進する方針が示された。
また、財政出動と金融緩和を的確かつ効果的に実施し、内需の拡大と供給の最適化を図ることで、雇用や企業の安定、市場心理の改善を図り、経済成長の原動力を強化するよう指示した。
財政・金融政策と内需拡大策
財政面では、支出構造の最適化と、地方政府の「3つの保障(給与、基本的に的な民生、行政経費)」の確保が求められた。金融政策については、予測可能性、柔軟性、的確性を高め、十分にな流動性の確保を目指す。人民元相場を合理的な均衡水準で安定させ、マクロ政策の整合性を確保することも指摘された。
内需の潜在力を掘り起こすため、次世代電力網、コンピューティングネットワーク(計算能力ネットワーク)、次世代通信網、都市地下管網、物流網などのインフラ計画・建設を強化し、条件が整った主になプロジェクトの着工を推進する方針だ。
構造改革とリスク管理を強化
会議では、現代的な産業システムの構築を加速させ、製造業の比率を維持することが強調された。全国統一市場の構築を深化させ、過当競争を是正する。また、「AI+」イニシアチブを全面的に実施し、スマート経済の新たな形態を発展させ、AIガバナンス(統治)を整備する。
さらに、国有資産・国有企業の改革を深化させ、エネルギー・資源の安全保障レベルを高めることが求められた。加えて、不動産市場の安定化、地方政府債務リスクの秩序ある解消、中小金融機関の改革推進、資本市場の安定と信頼感の向上などが重要な課題として挙げられた。
日本にとっての意味
今回の政治局会議で示された「AI+」イニシアチブとインフラ投資加速の方針は、日本企業にとって機会とリスクを同時にもたらす。まず、中国が「次世代電力網、コンピューティングネットワーク、次世代通信網」といったインフラ建設を強化する方針は、日本の重電メーカーや通信機器メーカーにとって新たなビジネスチャンスとなる。例えば、日立製作所やNECといった企業は、中国の巨大なインフラ需要に応えることで、売上拡大が見込めるだろう。
一方で、「科学技術の自立とサプライチェーンの自主管理」の推進は、日本企業が中国市場で事業を展開する上でのリスクを高める。中国がAI分野で国産化を加速させることで、ソニーやパナソニックなど、中国市場で家電製品や電子部品を供給する日本企業は、部品調達や技術提携において制約を受ける可能性が高まる。特に、中国が「AI+」イニシアチブを通じてスマート経済の新たな形態を追求する中で、日本企業は技術移転や知的財産保護に関してより慎重な対応が求められる。
また、地方政府債務リスクの解消や不動産市場の安定化といった構造改革は、中国経済全体の安定化に寄与する一方で、短期的な景気減速を引き起こす可能性もある。これは、中国市場に大きく依存する日本企業、例えば自動車産業のトヨタやホンダにとって、販売戦略の見直しを迫る要因となり得る。