中国で強い寒波により天然ガスの暖房需要が急増し、国家インフラを担う国家管網集団 (PipeChina) が管理するパイプライン網の供給量が、1月21日に1日あたりで過去最高の11億立方メートルに達した。同集団は全国規模で供給体制を強化し、エネルギーの安定供給を確保している。
パイプライン網をフル稼働、供給体制を強化
国家管網集団は、全国で一体的な調整・管理を行い、安定供給の確保と市場動向に応じた供給量の調整を実施している。暖房シーズンが始まって以来、同集団が運営する総延長5.7万キロメートルの天然ガスパイプラインによる累計供給量は690億立方メートルを超えた。
各地で厳戒情勢、凍結リスクに対応
山東地区では、設備をフル稼働させ、ステーションやパイプラインの凍結防止対策を強化した。寒波の影響で、同地区のパイプラインの1日あたりの供給量は7900万立方メートルに急増し、前日比で38%以上増加した。
また、河南省にある「西気東輸パイプライン」の南陽操業エリアでは、保守担当者が主になステーションやバルブ、埋設管を全面的に点検。低温による機器の凍結リスクに備え、予防的なメンテナンスを行っている。
貯蔵ガス放出とLNGで需要増に対応
国家管網集団は、事前にパイプライン網内の貯蔵量を36億立方メートル以上に引き上げ、8カ所の液化天然ガス(LNG)受け入れステーションを高稼働させている。寒波による市場の変化に対応し、川上・川下の事業者と緊密に連携して需給バランスを調整している。
現在、パイプライン網に接続された19カ所のLNG受け入れステーションから1日平均で約3億立方メートルが供給されている。また、ネットワーク化された17カ所のガス貯蔵施設も同時に稼働し、1日あたり約2億立方メートルを供給することで、北部や中東部など主に地域でのガス需要に確実に対応していると、中国メディアは伝えている。
日本の関連性
今回の中国の天然ガス供給量過去最高記録は、日本企業にとって二つの具体的な影響と示唆をもたらす。
第一に、中国の天然ガス需要の季節変動と供給能力の向上は、日本のLNG輸入戦略に直接的な影響を与える。PipeChinaが1月21日に1日あたり11億立方メートルという過去最高の供給量を記録し、さらにLNG受け入れステーションから1日平均約3億立方メートルを供給している事実は、中国が国内需要を賄うため、今後も国際LNG市場で主要な買い手であり続けることを示唆する。特に冬季の需要急増期には、日本企業が国際市場でLNGを調達する際に、中国との競合が激化し、価格が高騰するリスクが高まる。日本の電力会社やガス会社は、長期契約の見直しや調達先の多様化を検討する必要があるだろう。
第二に、中国のエネルギーインフラ、特に天然ガスパイプライン網の急速な整備と運用能力の向上は、関連する日本企業の事業機会を創出する可能性がある。国家管網集団が総延長5.7万キロメートルにも及ぶパイプライン網を運用し、さらに凍結防止対策や予防的メンテナンスを強化していることから、こうしたインフラ整備や維持管理に必要な高機能素材、センサー技術、あるいは検査・保守用ロボットといった分野で、日本の技術力への需要が生まれる可能性がある。例えば、山東地区でパイプラインの1日あたりの供給量が38%以上増加したような急激な需要変動に対応できる先進的な設備やシステムは、日本のプラントエンジニアリング企業や精密機器メーカーにとって、新たな市場となるだろう。