中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は、ドイツとフランスの外相とオンライン形式で3カ国外相会談を行い、世界の平和と発展に向けた協力を呼びかけた。会談で王氏は、一国主義や保護主義の台頭に警鐘を鳴らした。

国際秩序の維持へ協力を要請

王氏は、現在の国際情勢が「第二次世界大戦以来、最も深刻で複雑な変化」に直面していると指摘。一国主義や保護主義、強権政治が台頭し、国連を中心とする国際秩序が脅かされているとの認識を示した。

その上で、経済のグローバル化も逆流に直面しており、世界の平和と発展は未曾有の挑戦に直面していると強調。中国、ドイツ、フランスが国際社会で重要な責任を担っていると述べ、連携の必要性を訴えた。

中欧関係の方向性

王氏は中欧関係について、相互尊重の原則を堅持し、「相違点を棚上げし共通点を追求する」姿勢で共存の道を探るべきだと主張した。50年にわたる交流と協力の歴史を土台に、互いを脅威ではなくパートナーと見なすべきだと述べた。

また、「中国の発展は欧州にとって機会であり、欧州が直面する課題は中国に起因するものではない」と強調。欧州連合(EU)の中核であるドイツとフランスに対し、中国への客観的かつ包括的な認識を広めるよう促した。

日本への影響と今後の展望

本会談は、中国が「一国主義や保護主義の台頭」と表現する現状に対し、欧州主要国との連携を通じて国際的な包囲網を構築しようとする意図を鮮明にした。日本にとって、これは国際秩序形成における新たな立ち位置を模索する機会となる。

第一に、中国がドイツ、フランスとの関係強化を優先する背景には、米国主導の対中政策への牽制がある。日本は、日米同盟を基軸としつつも、中国が欧州との協調路線を強めることで生じる国際的な力学の変化を冷静に分析し、多角的な外交戦略を構築する必要がある。例えば、中国が「中国の発展は欧州にとって機会であり、欧州が直面する課題は中国に起因するものではない」と強調したことは、欧州企業が中国市場へのアクセスを維持したいという経済的誘因を刺激する。日本企業も同様の誘因を持つため、欧州との連携を通じて中国市場での事業機会を確保する可能性を探るべきだ。

第二に、王毅外相が「第二次世界大戦以来、最も深刻で複雑な変化」と現状を認識している点は、中国が国際規範の再構築に積極的に関与しようとしている表れである。日本は、中国が提唱する国際秩序の維持が、既存の国際法やルールとどのように整合するのかを精査する必要がある。特に、人権問題や海洋進出など、日本と価値観を共有する国々との連携を強化し、中国の主張が国際社会に与える影響を共同で評価する枠組みを構築することが求められる。これは、単なる対立ではなく、国際的なルールメイキングにおける日本の影響力を維持・拡大する上で不可欠である。