中国で食品の安全性を揺るがす問題が再び発覚した。中国中央テレビ(CCTV)は3月15日の消費者権利デー特番『3.15晩会』で、四川省の食品会社が化学薬品で漂白した「鶏の足」を極めて不衛生な環境で加工していたと告発した。製品は市場に広く流通しており、消費者に衝撃が広がっている。

CCTVが告発、安価な製品の裏側

番組で名指しされたのは、四川省の蜀福香食品有限公司だ。同社の主な株主は成都衆興食品有限公司(60%)と四川栄盛泰グループ(40%)。市場では、不自然に白く見た目の良い「鶏の足」が500グラムあたり15元(約310円)という低価格で販売され、以前から安全性を疑問視する声があった。今回の報道は、その背後にある加工の実態を明らかにした。

潜入取材で判明した不衛生な加工現場

CCTVの記者が四川省と重慶市で潜入取材を実施したところ、衝撃的な実態が明らかになった。蜀福香食品の一次加工を請け負う成都明揚食品の作業場では、従業員の健康診断や衛生消毒が一切行われていなかった。

現場は悪臭が漂い、床には汚水が溜まっていた。大量の「鶏の足」が床に直接置かれ、その上には清掃用のほうきやシャベルが無造作に放置されるなど、食品加工施設とは到底思えない劣悪な環境だったと、CCTVは伝えている。

繰り返される食品問題、機能しない監督体制

今回の問題の背景には、中国の食品安全管理体制の構造的な欠陥があるとみられる。中国では過去にも同様の食品偽装事件が度々発生し、その都度、政府は監督強化を打ち出してきた。しかし、現場レベル、特にサプライチェーンの末端に位置する小規模事業者への監督が機能していない実態が改めて浮き彫りになった。

日本にとっての意味

今回のCCTVの告発は、中国の食品サプライチェーンにおける末端の衛生管理の脆弱性を改めて浮き彫りにした。日本企業にとって、これは単なる対岸の火事ではない。第一に、中国市場で「鶏の足」のような加工食品を扱う日系食品メーカーは、自社の調達先が蜀福香食品や成都明揚食品のような劣悪な環境で生産された中間製品を使用していないか、サプライチェーン全体の徹底的な再監査が急務となる。特に、500グラムあたり15元という異常な低価格で流通する製品が背景にある場合、その調達経路に不衛生な加工過程が潜むリスクが高い。

第二に、中国で食品関連事業を展開する日本企業は、現地パートナーの選定基準を厳格化する必要がある。四川栄盛泰グループのような主要株主が関与する企業でさえ、このような問題が発生する現状を踏まえ、単なる企業規模や表面的な認証だけでなく、抜き打ち検査や第三者機関による定期的な衛生監査を契約に盛り込むなど、より踏み込んだリスク管理が不可欠だ。

第三に、今回の件は、中国消費者の食品安全に対する意識の高まりを示唆している。CCTVの『3.15晩会』で告発されたことは、消費者の信頼を失墜させる決定的な打撃となる。日本企業は、自社の製品が「安全・安心」であるというブランドイメージを維持するため、透明性の高い情報開示と、日本の衛生基準に準拠した生産体制を中国国内でも徹底することで、競合他社との差別化を図る機会となる。