中国のオンライン婚活プラットフォーム『伊達』の親会社である米連科学技術 (Meilian Technology) が、香港証券取引所に新規株式公開 (IPO) を再度申請した。2023年9月の初回申請が失効した後の再挑戦となる。同社はプロの仲人が介在する独自のマッチングサービスで急成長を遂げている。
「紅娘」介在モデルで急成長
2017年にサービスを開始した『伊達』は、「紅娘 (ホンニャン)」と呼ばれるプロの仲人がオンラインで利用者をサポートする点が最大の特徴だ。目論見書によると、2023年の売上高は41.22億元 (約840億円) に達し、前年比で256%の大幅な増収を記録した。
中国では単身人口が2.4億人に上り、婚姻率の低下も社会問題となっている。こうした背景から婚活市場の拡大が見込まれており、同社は独自のサービスで市場の需要を的確に捉えている形だ。
創業者と事業リスク
米連科学技術は2011年、燕山大学の同窓である最高経営責任者 (CEO) の任喆氏と最高執行責任者 (COO) の朱暁朴氏によって設立された。2015年から婚活事業に着手し、『伊達』を主力サービスに育て上げた。
一方で、事業には課題もある。目論見書では、高額課金への誘導や詐欺行為といった消費者トラブルのリスクが指摘されている。また、収益の大部分を『伊達』という単一のサービスに依存している点も、経営上の懸念材料とされている。
日本への影響
中国婚活大手『伊達』のIPO再申請は、日本の関連産業に直接的な影響を及ぼす可能性は低いものの、中国市場の潜在的な機会とリスクを具体的に示している。
まず、日本のブライダル・婚活産業にとって、中国の単身人口2.4億人という巨大市場は依然として魅力的なターゲットであり続ける。特に、『伊達』が「紅娘」と呼ばれるプロの仲人を介在させることで2023年に売上高41.22億元(約840億円)を達成した事実は、オンラインとオフラインの融合型サービスが中国で高い需要を持つことを示唆する。日本の大手結婚相談所やマッチングアプリ運営企業は、このハイブリッドモデルを参考に、中国市場への参入戦略を再考する機会がある。
次に、中国の消費者トラブルリスクへの対応が重要となる。目論見書で指摘された高額課金への誘導や詐欺行為のリスクは、日本企業が中国で事業展開する際に直面しうる課題でもある。例えば、日本のブライダル企業が中国のパートナーと提携する際、消費者保護の観点から透明性の高い料金体系や明確なサービス内容を徹底する必要がある。これは、ブランドイメージの毀損を防ぎ、長期的な信頼関係を構築する上で不可欠だ。
最後に、特定のサービスへの収益依存リスクは、日本企業が中国市場で多角的な事業展開を検討する際の教訓となる。『伊達』が単一サービスに依存している点が懸念材料とされたように、日本企業も中国進出の際は、複数のサービスラインや収益源を確保し、市場変動や規制リスクに対するレジリエンスを高める戦略が求められる。