中国のテクノロジー大手ByteDance (ByteDance) が、ゲーム事業部門をサウジアラビアの政府系ファンド (PIF) 傘下のSavvy Games Groupに売却する交渉を進めていることが分かった。売却額は60億〜70億ドル(約9,400億〜1兆1,000億円)規模と報じられている。同社はゲーム事業を再編するが、完全に撤退はしない方針だ。

40億ドルで買収した事業を売却

ByteDanceは2021年、約40億ドルを投じてゲーム開発会社「Moonton Technology (沐瞳科学技術)」を買収した。Moontonは人気モバイルゲーム『モバイルレジェンド: Bang Bang』で知られ、ByteDanceの海外ゲーム市場拡大戦略の中核を担っていた。

しかし、今年4月にはMoontonの独立上場計画が報じられたものの、方針を転換。今回の売却交渉に至った背景には、ByteDanceグループ全体の事業ポートフォリオ見直しがあるとみられる。

ゲーム事業は継続、再編を加速

今回の売却は、ByteDanceがゲーム事業から完全にに撤退することを意味するものではない。同社は今後も、広州のUjoy事業部や北京のOasisスタジオなど、複数の開発チームを維持する方針だと報じられている。

これらのチームは既存の人気タイトルを運営しており、ByteDanceはカジュアルゲームや小規模なプロジェクトに注力し、事業の再構築を進める。今回の動きは、同社が大規模なゲーム開発から距離を置き、より収益性の高い分野に経営資源を集中させる戦略の一環とみられる。

日本市場への影響

ByteDanceによるMoonton Technology売却交渉は、日本のゲーム産業に直接的な影響を与える可能性がある。特に、Moontonが手掛ける『モバイルレジェンド: Bang Bang』のようなアジア市場で強いモバイルゲームの運営権がサウジアラビアのPIF傘下に移ることで、日本のゲーム企業が同地域で展開する際の競争環境が変化する。PIFは日本のゲーム企業にも投資実績があり、今回の買収で得たノウハウや資金力を活用し、アジア市場での攻勢を強める可能性がある。

また、ByteDanceが2021年に40億ドルを投じたMoonton Technologyを売却し、大規模ゲーム開発からカジュアルゲームや小規模プロジェクトに注力する方針は、日本のゲーム開発企業にとって新たな提携機会を生む可能性がある。ByteDanceは依然として広州のUjoy事業部や北京のOasisスタジオを維持しており、これらの部門が日本の小規模・中規模ゲーム開発会社との協業を模索する可能性が考えられる。TikTokという強力なプラットフォームを持つByteDanceとの連携は、日本のカジュアルゲームがグローバル市場に進出する上で有効な手段となり得る。

一方で、PIFがサウジアラビアの国家戦略としてゲーム産業への投資を加速させていることは、日本のゲーム企業が中東市場に進出する上での障壁となる可能性がある。PIFは自国でのゲーム開発拠点設立や人材育成にも注力しており、将来的には日本企業が中東市場で競争する際に、より強力な現地勢力と対峙することになるだろう。