中国の新エネルギー車(NEV)が世界市場で急速にシェアを拡大している。2023年の世界販売台数に占める中国メーカーの割合は68.4%に達し、特に第4四半期には71.9%を記録した。一方、Alibabaやシャオミといった大手IT企業も、人工知能(AI)や電気自動車(EV)分野で新事業を加速させており、中国のテクノロジー産業全体の地殻変動が鮮明になっている。
中国新エネ車、世界市場の7割に迫る
調査会社カウンターポイント・リサーチによると、2023年の世界NEV市場における中国ブランドのシェアは68.4%に達した。純粋な電気自動車(EV)市場でも、中国のシェアは前年比1ポイント増の64.3%を占めている。世界全体でのNEVの普及率も、2022年の13%、2023年の16%から、2024年には19.5%に達すると予測されており、市場の拡大を中国勢が牽引している構図だ。
この背景には、BYDをはじめとする国内メーカーの躍進に加え、政府の強力な後押しがある。車載電池や充電インフラへの大規模な投資が、中国のNEV産業の競争力を高める原動力となっている。
大手IT企業、AI・EVで新事業を加速
自動車産業以外でも、中国のテクノロジー企業は積極的な動きを見せている。Alibabaグループは、同社のAI大規模言語モデル(LLM)を搭載したアプリ「Qwen(通義千問)」で、春節(旧正月)期間中に大規模な販促キャンペーンを実施し、わずか9時間で1000万件以上の注文を獲得したと発表した。
スマートフォン大手のシャオミ(Xiaomi)は、自動車市場への本格参入を表明し、新型の完全に電気自動車(BEV)であるSUVモデルを発表。異業種からの参入が市場の競争を一層激化させている。また、製薬業界では、華潤三九(China Resources Sanjiu)が2023年通期の決算で、純利益が前年比1.60%増の34億2200万元(約700億円)になったと報告するなど、各社が事業基盤の強化を進めている。
日本への影響と示唆
中国NEVの2023年世界シェア68.4%という数字は、日本自動車産業にとって構造的な転換を迫る。特に、BEV市場で中国が64.3%を占める現状は、ガソリン車やハイブリッド車に強みを持つ日本メーカーの事業ポートフォリオ見直しを加速させるだろう。例えば、トヨタやホンダといった大手は、中国市場でのBEV開発・投入をさらに強化するか、あるいは中国以外の市場でのBEV戦略を再構築する必要がある。
また、AlibabaのAI大規模言語モデル「Qwen」が9時間で1000万件以上の注文を獲得した事例は、中国IT企業の技術力と市場浸透力を示している。これは、自動車のスマート化が進む中で、日本メーカーが車載AIやコネクテッドサービスにおいて、中国IT企業との連携を模索するか、あるいは自社での開発体制を抜本的に強化しない限り、競争優位を失うリスクを意味する。シャオミのBEV市場参入も同様で、異業種からの参入が競争環境を激化させ、日本の自動車部品メーカーにも新たなサプライチェーンや技術提携の機会と同時に、既存ビジネスモデルの陳腐化リスクをもたらす。
さらに、華潤三九の純利益増加に見られるように、中国国内市場が堅調に推移している点は、日本企業にとって中国市場の重要性が依然として高いことを示唆する。日本企業は、中国の技術革新のスピードと市場の特性を理解し、単なる製造拠点としてではなく、イノベーションパートナーとしての関係性を構築する機会を捉えるべきだ。