中国の大手不動産デベロッパー、中国金茂(チャイナ・ジンマオ)ホールディングスは2025年の年次決算を発表し、株主に帰属する純利益が前年比18%増の12.53億元に達したと明らかにした。中国の不動産市場全体が調整局面にある中で、同社の業績は改善を示した。
住宅価格上昇が寄与、粗利益率も回復
業績改善の主な要因は、住宅の平均販売価格の上昇だ。同社の発表によると、平均販売価格は1平方メートルあたり約2.7万元に達し、前年同期比で24%増加した。これにより、粗利益率は16%に上昇し、収益性が改善した。
中国の不動産業界は過剰債務や需要の低迷に直面しているが、中国金茂は2024年に開始した「金玉満堂」プロジェクトなどを通じ、高付加価値物件の提供に注力してきた戦略が奏功した形だ。
厳しい市場認識も、構造的機会を追求
中国金茂の陶天海(タオ・ティエンハイ)会長は決算発表に際し、「現在の不動産市場は依然として厳しい状況にある」との認識を示した。その一方で、「都市化の進展や質の高い住宅への需要といった構造的な機会は依然として存在する」と述べ、今後の事業展開に自信を見せた。
同社はすでに2026年の売上目標を設定しており、引き続き優良な都市部のプロジェクトに資源を集中させ、持続的な成長を目指す方針だ。
日本への影響と示唆
中国金茂の純利益18%増は、中国不動産市場の調整局面における日本企業への新たな機会と課題を示す。同社の平均販売価格が前年比24%増加し、1平方メートルあたり約2.7万元に達したことは、中国の富裕層・中間層が依然として高付加価値住宅を求めている証左だ。この需要は、日本の建材メーカーや住宅設備メーカーにとって、高品質な部材や技術を提供する商機となる。例えば、TOTOやLIXILのような企業は、中国金茂が注力する「金玉満堂」のような高付加価値プロジェクト向けに、省エネ性能やデザイン性を追求した製品供給を強化できる。
一方で、中国金茂が「都市化の進展や質の高い住宅への需要」を構造的機会と捉えている点は、日本の不動産デベロッパーにも影響を与える。中国市場における競争激化は避けられず、日本のデベロッパーは、単なる物件供給ではなく、環境技術やスマートシティ技術など、日本が強みを持つ分野での差別化が求められる。例えば、積水ハウスのような企業は、中国金茂がターゲットとする優良都市部において、環境配慮型住宅や高齢者向け住宅といったニッチ市場での協業や技術供与を検討する余地がある。
また、陶天海会長が市場の厳しさを認識しつつも成長目標を設定していることは、中国不動産市場が完全に冷え込んだわけではなく、選別的な投資機会が存在することを示唆する。日本企業は、この選別的な成長機会を捉えるため、中国金茂のような有力デベロッパーとの連携を強化し、市場の動向をより深く理解する必要がある。