中国の保険最大手、中国人寿保険は2024年度の保険金支払いに関する報告書を発表した。支払い件数は前年度比で増加し6,224万件、支払い総額は1,004億元(約2兆2000億円)に達した。
デジタル化で支払いプロセスを刷新
同社は顧客満足度向上のため、保険金支払いプロセスの改革に注力している。特に、請求手続きのペーパーレス化を推進し、顧客の利便性向上を図った。
また、デジタル技術の活用も積極的に進めている。同社の発表によると、インターネットやビッグデータ、AI(人工知能)といった先端技術を活用し、支払い査定の迅速化とサービス品質の向上を実現したという。
支払いサービスの主な特徴
報告書では、迅速な支払いが強調されている。平均支払い所要時間は大幅に短縮され、多くの案件がオンラインで完結するようになった。これにより、保険金受取人の負担が軽減され、緊急時の資金需要に迅速に対応できる体制が強化された。
日本への影響と今後の展望
中国人寿保険のデジタル化による保険金支払い迅速化は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、中国市場における顧客体験の基準値引き上げだ。中国人寿が年間6,224万件、1,004億元もの支払いをデジタルで迅速処理する体制を確立したことは、中国消費者が保険サービスに求めるスピードと利便性の期待値を高める。これにより、中国市場で事業展開する日本の損害保険ジャパンや東京海上日動などの保険会社は、同様のデジタル対応を迫られる。現地の競合が提供する利便性から乖離すれば、顧客獲得競争で不利になるリスクがある。
第二に、日本の金融機関におけるDX投資の加速への示唆だ。中国人寿がインターネットやビッグデータ、AIを活用し、迅速な支払い査定を実現した事例は、日本国内の金融機関が抱えるレガシーシステムやアナログな業務プロセスからの脱却を促す。特に、自然災害時の保険金支払いなど、緊急性を要する局面でのデジタル化の遅れは、顧客満足度だけでなく企業イメージにも直結する。中国人寿の成功事例は、日本の金融機関がDX投資の優先順位を見直し、顧客体験を最重視したシステム刷新を加速させる具体的な動機付けとなるだろう。