中国の上場企業が、国内経済の減速懸念をよそに、海外市場で収益力を鮮明にしている。2025年の年次決算では、上海・深圳市場に上場する主要5206社の純利益が前年比2.6%増5.4兆人民元(約118兆円)に達し、利益成長率は過去3年間で最高を記録した。この成長を牽引しているのは、電気自動車(EV)向け電池材料や半導体といったハイテク製造業のグローバル展開だ。米中対立を前提としたサプライチェーンの再構築と、政府の強力な後押しが背景にあり、関連分野の日本企業にとっては、新たな競争と機会が交錯する局面を迎えている。

海外売上高が利益成長を牽引

中国証券監督管理委員会 (China Securities Regulatory Commission, CSRC) がまとめた統計によると、2025年の上海・深圳市場上場企業の総売上高は72.8兆元(約1590兆円)と前年比1.2%の増加に留まった。一方で、純利益は2.6%増と売上の伸びを上回っており、収益性の改善がうかがえる。

この利益成長の原動力は海外事業だ。製造業など実体経済を担う企業の海外事業収入は12.7%増と2桁成長を遂げ、全売上高に占める比率も18.6%と前年から2.0ポイント上昇した。不動産不況などで停滞する国内需要を、旺盛な外需で補う構造が鮮明になっている。中国政府が掲げる内需と外需の「双循環」戦略が、実質的に外需への依存を強める形で機能している格好だ。分野別に見ると、通信(36.3%増)、自動車(18.5%増)、電子(16.5%増)といったハイテク分野の海外での躍進が際立っている。

地政学リスクを逆手に取るサプライチェーン戦略

業績好調を象徴するのが、EV電池の重要材料である三元系前駆体を製造する中偉新材 (CNAO) だ。同社は廃バッテリーからリチウムやニッケルを回収するリサイクル技術を強みとし、事業の中核に拠えている。近年の地政学リスクの高まりと、各国の保護主義的な政策に対応するため、同社は国内での加工に加え、資源国であるインドネシアや、欧州市場に近いモロッコに生産・精錬拠点を設立した。

この動きは、米国のインフレ抑制法(IRA)のような規制を回避しつつ、グローバルなサプライチェーンを構築する戦略的な布石とみられる。この結果、2025年の同社の海外事業収入は全体の約50%を占め、会社全体の売上高を19%以上、純利益を約7%押し上げる原動力となった。2020年頃から中国が内需主導を掲げた「双循環」戦略は、結果として、こうした企業のしたたかな国際化を後押しする形となっている。

国家主導の技術自立と「科創板」の役割

もう一つの注目事例が、AI向けGPU(画像処理半導体)を開発するスタートアップ、沐曦集積回路 (MetaX) だ。同社は、2022年10月に米国が導入した厳格な半導体関連の輸出規制強化を受けて、国内での技術自立を急ぐ中国の国家戦略を体現する企業の一つである。

同社は、赤字段階のハイテク企業でも上場を認める上海証券取引所の新興ハイテク企業向け市場「科創板 (STAR Market)」の特例制度を活用して上場。巨額の資金を調達し、開発を加速させた。その結果、2025年には売上高が前年比121%増16.4億元に達するなど急成長を遂げている。これは、米国の制裁が、かえって中国政府による国内半導体サプライチェーン確立に向けた巨額の資金支援と制度改革を促し、国産技術開発を加速させるという構造を示している。国家目標と金融市場が一体となって特定産業を育成する中国のモデルが、一定の成果を上げつつあることを浮き彫りにした。

日本の関連性

中国の上場企業が国内経済の減速懸念をよそに、海外市場で収益力を鮮明にしている。2025年の年次決算では、上海・深圳市場に上場する主要5206社の純利益が前年比2.6%増の5.4兆人民元(約118兆円)に達し、利益成長率は過去3年間で最高を記録した。この成長を牽引しているのは、電気自動車(EV)向け電池材料や半導体といったハイテク製造業のグローバル展開だ。中国証券監督管理委員会(CSRC)がまとめた統計によると、2025年の上海・深圳市場上場企業の総売上高は72.8兆元(約1590兆円)と前年比1.2%の増加に留まった。一方で、純利益は2.6%増と売上の伸びを上回っており、収益性の改善がうかがえる。

この利益成長の原動力は海外事業だ。製造業など実体経済を担う企業の海外事業収入は12.7%増と2桁成長を遂げ、全売上高に占める比率も18.6%と前年から2.0ポイント上昇した。不動産不況などで停滞する国内需要を、旺盛な外需で補う構造が鮮明になっている。中国政府が掲げる内需と外需の「双循環」戦略が、実質的に外需への依存を強める形で機能している格好だ。中偉新材(CNAO)や沐曦集積回路(MetaX)などの企業は、EV電池や半導体分野で海外事業を牽引し、中国のハイテク業界の成長を支えている。日本企業にとっては、中国のハイテク企業が海外市場で急成長することは、新たな競争相手の登場を意味する。一方で、中国のサプライチェーン戦略は、地政学リスクを逆手に取る戦略的な布石とみられるため、日本企業が中国のハイテク業界に参入する機会も生まれている。