中国の物流大手ZTOエクスプレス(中通快逓)などが、旧正月(春節)商戦の配送ピークに対応するため、AIやドローンを活用した物流の自動化を加速させている。無人配送車やドローンの本格導入により、配送効率の向上と従業員の負担軽減を目指す。

無人配送車とドローンが本格稼働

中国の物流業界では、旧正月前の繁忙期に対応するため、自動化技術の導入が急速に進む。ZTOが河北省滄州市任丘市に置く拠点では、無人配送車が旧正月向けの荷物を自動で仕分けし、各配送拠点へ向けて出発。これにより、24時間体制での仕分けと配送が可能となった。

ドローンの活用も拡大する。特に山間部や交通が不便な地域での「ラストワンマイル配送」を担い、従来の陸上輸送に比べて配送効率が約60%向上したケースも報告されている。これにより、これまで配送が困難だった地域へも迅速に荷物を届けることが可能になった。

長期化する商戦と従業員の負担軽減

ZTOの江西省南昌県にある拠点の担当者によると、今年の旧正月商戦は配送需要のピークが緩やかになる一方、商戦期間そのものは長期化する傾向にあるという。こうした状況に対応するため、自動化は不可欠な要素となっている。

無人配送車1台で1日平均約600件の荷物を配送可能となり、配送員の業務負担を大幅に軽減する。この結果、従業員は繁忙期でも休暇を取得しやすくなり、労働環境の改善にもつながる。

日本市場への影響

ZTOエクスプレスによるAI・ドローン導入は、日本の物流業界に具体的な影響と機会をもたらす。まず、山間部や交通不便地域における「ラストワンマイル配送」の効率化は、日本の過疎地域や離島への配送コスト削減・サービス向上に直結する。ZTOが約60%の配送効率向上を実現した事例は、ヤマト運輸や佐川急便など、広範囲にわたる配送網を持つ日本企業にとって、ドローン導入による事業領域拡大の可能性を示唆する。

次に、旧正月商戦の長期化と配送員の負担軽減というZTOの課題は、日本のEC市場拡大に伴う物流現場の慢性的な人手不足と共通する。無人配送車1台で1日平均約600件の荷物を配送可能とした実績は、日本が直面する2024年問題への具体的な解決策となり得る。日本郵政やSGホールディングス傘下の企業は、ZTOの技術導入事例を参考に、自動化投資による労働環境改善とサービス維持の両立を図るべきだ。

最後に、中国物流大手による自動化の加速は、日本の物流機器メーカーやAI開発企業にとって、新たな市場機会を創出する。ZTOの成功事例は、日本企業が中国市場へ高精度なドローンや無人配送車、関連AIシステムを供給する際の説得材料となる。単なる模倣ではなく、日本の地理的・法的特性に合わせたカスタマイズや、より高度な安全性・信頼性を提供する技術開発が、競争優位性を確立する鍵となるだろう。