中国の手術支援ロボット市場で国産品のシェアが急速に拡大している。2024年には48.89%に達し、前年の32.61%から大幅に上昇した。国家医療保障局による診療報酬制度の改定が、国産ロボットの普及と遠隔手術の発展を後押しする構えだ。

国産シェアが急拡大

中国の手術支援ロボット市場は近年、著しい成長を遂げている。国産メーカーの台頭により、市場シェアは2023年の32.61%から2024年には48.89%へと急伸した。中国科学院の張旭院士は、国産ロボットの研究開発が進展したと評価する一方、「米国の水準にはまだ及ばない」との見解も示しており、技術革新が今後の課題となる。

診療報酬の新指針が追い風に

市場拡大の背景には、政府の政策支援がある。国家医療保障局は1月20日、手術支援ロボットの診療報酬に関する新たな指針を発表した。新華社通信が伝えたところによると、この指針ではロボットの役割を「ナビゲーション」「操作支援」「精密操作」の3段階に分類し、その臨床的価値に応じた報酬体系を導入。これにより、国産ロボットの導入コストに対する医療機関の障壁が低減されるとみられる。

遠隔手術の普及を促進

新指針は遠隔手術の普及も重点プロジェクトに掲げている。遠隔操作が可能な手術支援ロボットを活用することで、都市部の専門医が地方の患者に高度な医療を提供できるようになる。国家医療保障局の王小寧局長は、「指針の整備を完了させ、全国の医療サービス価格体系を統一し、国民が質の高い医療サービスを受けられる環境を整える」と述べた。

日本企業への示唆

中国の手術支援ロボット市場における国産シェアの急伸は、日本企業にとって二つの明確なリスクと一つの機会をもたらす。まず、これまで市場を牽引してきたインテュイティブ・サージカル社(Intuitive Surgical)の「ダヴィンチ」のような外国製ロボットは、中国政府の国産化推進政策により、市場競争で不利な立場に置かれる可能性が高い。2024年に国産シェアが48.89%に達したという事実は、この傾向がすでに顕著であることを示しており、日本企業が中国市場で同様の医療機器を販売する際、国産品との価格競争や政府調達における優遇措置の壁に直面するリスクが増大する。

次に、国家医療保障局による診療報酬の新指針が遠隔手術の普及を促進する点は、日本企業が中国市場で遠隔医療関連の技術やサービスを展開する上での障壁となる。中国政府が遠隔手術を重点プロジェクトと位置づけ、国産ロボットを活用したシステム構築を進めることで、日本の遠隔医療技術が参入しにくい「クローズドなエコシステム」が形成される恐れがある。

しかし、中国科学院の張旭院士が「米国の水準にはまだ及ばない」と指摘するように、国産ロボットの技術水準にはまだ改善の余地がある。この技術ギャップは、日本の精密医療機器メーカーにとって、例えば、高精度なセンサー技術や画像診断技術、あるいはAIを活用した手術支援ソフトウェアなど、国産ロボットでは補えないニッチな分野で技術提携や部品供給といった形で中国市場に参入する機会となり得る。特に、中国が不足しているとされる「精密操作」や「ナビゲーション」の分野で、日本の強みを発揮できる可能性を探るべきである。