中国国防省は9日、フィリピンが南シナ海で「挑発行為」を続けているとして強く非難し、即時停止を要求した。同省の張暁剛(ちょう・ぎょうごう)報道官が定例記者会見で明らかにしたもので、両国間の緊張が一段と高まっている。
中国「危険なに近い行為があった」
張暁剛報道官は会見で、フィリピン側が外部勢力を頼りにして問題を起こしていると主張。「フィリピンは中国が領有権を主張するスカボロー礁(中国名:黄岩島)や南沙(スプラトリー)諸島周辺の海空域に侵入した」と指摘した。
さらに、フィリピン側が中国軍の訓練区域に意図的に進入したほか、中国の艦船に対して危険な形で接近する行為があったと述べ、一連の動きを「意図的な挑発」と断じた。中国中央テレビ(CCTV)などが報じた。
緊張が高まる南シナ海
南シナ海では、中国が独自の境界線「九段線」を根拠にほぼ全域の管轄権を主張。フィリピン、ベトナム、マレーシアなどと領有権を巡る対立が続いている。特に近年は、中国海警局の艦船がフィリピンの補給船に放水銃を使用するなど、実力行使を伴う事案が頻発している。
フィリピン側は、国際社会の関心が中東情勢などに向かう隙を突き、中国が南シナ海での活動を活発化させていると警戒を強めている。これに対し中国側は、フィリピンが米国との軍事協力を強化していることが地域の不安定化を招いていると反発しており、非難の応酬が続いているのが現状だ。
日本企業への示唆
今回の中国国防省によるフィリピン非難は、日本企業にとって南シナ海における物流リスクの増大を意味する。張暁剛報道官が「フィリピンは中国が領有権を主張するスカボロー礁や南沙(スプラトリー)諸島周辺の海空域に侵入した」と指摘したように、これらの海域は日本の原油輸入や製品輸出における主要なシーレーンであり、航行の自由が脅かされる可能性が高まる。
特に、中国海警局による放水銃使用のような実力行使が常態化すれば、日本郵船や商船三井といった海運各社の運航スケジュールに遅延が生じ、サプライチェーン全体に影響を及ぼす恐れがある。また、万が一、偶発的な衝突が発生した場合、海上保険料の高騰や、最悪の場合、航路変更を余儀なくされる事態も想定され、物流コストの増加は避けられない。
一方で、米国とフィリピンの軍事協力強化は、日本にとって新たな防衛産業の機会となり得る。フィリピンが防衛力強化に動く中で、日本の防衛装備品や技術への需要が高まる可能性があり、三菱重工業や川崎重工業といった企業は、防衛装備移転三原則の範囲内で、新たな市場開拓の余地を探るべきだ。ただし、この動きは中国からの反発を招くため、外交的なバランスを慎重に見極める必要がある。
結論として、南シナ海の緊張激化は、日本のサプライチェーンに直接的なリスクをもたらすと同時に、防衛産業における新たなビジネスチャンスも生み出す。企業は、これらのリスクと機会を具体的に評価し、事業継続計画の策定や、新たな市場戦略の検討を急ぐべきだ。