中国・江蘇省の省都である南京市が、2030年までに常住人口1000万人を突破する目標を掲げている。2023年末時点の人口は前年比6.15万人増の963.85万人に達しており、若手人材の誘致を目的とした補助金制度などで人口増加を後押しする構えだ。
長江デルタ第5の都市へ、競争が激化
南京市の人口規模は、上海市、杭州市、蘇州市、合肥市に次ぎ、長江デルタ地域で5番目となった。同地域では浙江省の温州市や寧波市も2030年までに人口1000万人超えを目指しており、優秀な人材の獲得をめぐる都市間競争は激しさを増している。
南京市の人口増加は、出生率の上昇と死亡率の低下による自然増に加え、他地域からの移住による社会増が大きく寄与していると、地元メディアは伝えている。
「寧聚計画」で若手人材を誘致
市は人口増加策の柱として、若手人材誘致プログラム「寧聚計画」を推進し、年間30万人の若者を集める目標を掲げる。この計画は、南京市の産業発展に必要な人材を確保するための重要な戦略と位置づけられている。
具体的な施策として、市内で新たに就職した大学卒業生に対し、学士号取得者に1万元(約20万円)、修士号取得者に3万元(約60万円)、博士号取得者に10万元(約200万円)の一時補助金を支給している。
人口増が経済成長を牽引
人口増加は地域経済の活性化に直結している。2023年の南京市の域内総生産(GDP)は1.74万億元(約35兆円)に達し、安定した成長を維持した。旺盛な個人消費や活発な投資が経済を支える好循環が生まれている。
日本への影響と示唆
南京市の人口1000万人目標は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、同市が「寧聚計画」で学士号取得者に1万元、修士号に3万元、博士号に10万元の一時補助金を支給し、年間30万人の若者を集める目標を掲げている点は、長江デルタ地域における人材獲得競争の激化を意味する。これにより、同地域に進出する日系製造業やサービス業は、優秀な中国人材の確保がより困難になる可能性がある。特に、技術職や研究開発職など専門性の高い人材は、南京市や温州市、寧波市といった人口1000万人超えを目指す都市からの高待遇な誘致策に流れるリスクが高まる。
次に、南京市の人口増加が2023年のGDPを1.74万億元(約35兆円)に押し上げたように、旺盛な個人消費と投資が経済を牽引している事実は、日本企業にとって新たな市場機会を生み出す。特に、南京市が重点的に誘致する若年層は、デジタル消費や高付加価値サービスへの関心が高い。この層をターゲットとした日本製品やサービスの需要拡大が期待できるため、消費財メーカーやITサービス企業は、南京市場への参入や既存事業の拡大を検討する価値がある。
最後に、長江デルタ地域における都市間の人口獲得競争は、サプライチェーンの再編を促す可能性がある。南京市が産業発展に必要な人材確保を戦略と位置付けていることから、同市への投資インセンティブが強化されることも考えられる。これにより、日本企業は、既存の生産拠点の立地戦略を見直し、人材確保の容易さや市場アクセスを考慮した上で、南京市への新規投資や移転を検討する選択肢も浮上する。