中国のロボット開発スタートアップAnimotion Roboticsは、利用者が自作・カスタマイズ可能な生体模倣ロボット「Éloi」を開発中だ。元上海ディズニーランドの技術者である創業者が設立し、人と感情的な絆を築くロボットを目指す。同社はこのほど、大手ドル建てファンドから初期投資を獲得したと発表した。

「生命感」を追求するDIYロボット

開発中の「Éloi」は、モジュール設計の採用が最大の特徴だ。利用者はパーツを自由に組み合わせ、独自のロボットを組み立てられる。創業者の朱聖傑氏は、ロボットが単なる道具ではなく「生命感」を持ち、人間と深い感情的なつながりを築くことを目標に掲げている。

創業者は元ディズニーの技術者

創業者の朱聖傑氏は、幼少期からロボット工学に才能を発揮し、13歳と14歳の時にレゴ社主催の青少年向け世界ロボットコンテストで2年連続優勝した経歴を持つ。その後、米カリフォルニア大学バークレー校でロボット工学を専攻。2016年の上海ディズニーランド開園時には、人気アトラクション『カリブの海賊』に登場する「ジャック・スパロウ船長」のアニマトロニクス開発を主導した。

大手ファンドも注目、初期投資を獲得

Animotion Roboticsは2024年、朱氏と画像生成AI『Midjourney』の共同創業者であるジョン・ジャン氏によって設立された。同社は人間の表情や行動意図を解析する大規模モデルの研究開発に注力しており、そのためのアノテーション(データラベリング)専門会社も立ち上げている。同社の将来性を見込み、ある大手ドル建てファンドが2024年末までに初期投資を完了した。Maple Pledge Capital(楓承資本)が今後の資金調達で財務アドバイザーを務めると、中国メディアは報じている。

日本にとっての意味

Animotion RoboticsのDIYロボット「Éloi」の登場は、日本のロボット産業、特にホビー・教育分野に直接的な競争圧力と新たな協業機会をもたらす。同社の「モジュール設計」によるカスタマイズ性と、元上海ディズニーランドの技術者が手掛けた「生命感」を追求するアニマトロニクス技術は、日本のロボット玩具市場や教育用ロボットキット市場における差別化戦略を再考させるだろう。例えば、バンダイやタカラトミーといった大手玩具メーカーは、より高度な感情表現やインタラクションが可能な製品開発を迫られる可能性がある。

また、Animotionが画像生成AI「Midjourney」の共同創業者と連携し、人間の表情や行動意図を解析する大規模モデルの研究開発に注力している点は、日本のAI関連企業にとって脅威となり得る。感情認識AIやヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)技術で先行する日本のスタートアップや研究機関は、中国からの技術的キャッチアップと競争激化に備える必要がある。特に、Maple Pledge Capitalのような大手ファンドが初期投資を行ったことは、Animotionが今後、研究開発に潤沢な資金を投じ、急速に技術を向上させる可能性を示唆しており、日本企業は単なる製品開発だけでなく、基礎研究分野での連携やM&A戦略も視野に入れるべきだ。一方で、DIYロボットの普及は、日本の部品メーカーやソフトウェア開発企業に対し、新たなサプライチェーン構築や協業の機会を提供する可能性も秘めている。