2026年2月、中国のAIロボット市場が活況を呈している。特にエンボディードAI(身体性AI)分野で大型の資金調達が相次ぎ、EV大手NIO(ニオ)からスピンオフした神璣技術など、評価額100億人民元(約2100億円)を超えるユニコーン企業が複数誕生した。中国メディアの報道によると、市場の急成長が鮮明になっている。

エンボディードAI分野で大型資金調達が続出

中国では、ヒューマノイドロボットやエンボディードAIを手がけるスタートアップへの投資が過熱している。背景には、CCTV(中国中央テレビ)の旧正月番組「春節聯歓晩会」でヒューマノイドロボットが大きな注目を集めたことや、労働力不足を補う新たなソリューションとしての期待がある。複数のロボット関連スタートアップが10億人民元規模の大型資金調達に成功し、評価額10億ドル以上のユニコーン企業の仲間入りを果たしている。

評価額100億元超えの新興ユニコーン

特に注目されるのが、2026年2月にユニコーン企業となった3社だ。

神璣技術 (しんきぎじゅつ) は、EV大手NIOの半導体事業からスピンオフして設立された。同月26日、初の外部資金調達で22.57億人民元を確保し、資金調達後の評価額は約100億人民元に達した。

霊心巧手 (れいしんこうしゅ) は、ロボットの精密操作や触覚インタラクション技術に特化する企業だ。12日にシリーズBラウンドで約15億人民元を調達し、評価額は100億人民元を突破した。

智平方科学技術 (ちへいほうかがくぎじゅつ) は、テスラの「Optimus」を競合と見拠え、汎用スマートロボット開発に注力する。23日にシリーズBラウンドで10億人民元超を調達し、深圳で初となる評価額100億人民元超のエンボディードAIユニコーンとなった。

まとめ:日本への示唆

中国のエンボディードAI市場の急成長は、日本の産業界に具体的な影響を及ぼす。まず、神璣技術や霊心巧手といった評価額100億人民元を超えるユニコーン企業が続々と誕生している現状は、日本のロボット関連企業にとって、中国市場における競争激化を意味する。特に、テスラの「Optimus」を競合と見据える智平方科学技術のような汎用スマートロボット開発企業が台頭することで、日本の産業用ロボットメーカーは、これまで培ってきた技術的優位性を再評価し、より高度なAI統合や汎用性への対応を迫られる。

次に、EV大手NIOのスピンオフである神璣技術が初の外部資金調達で22.57億人民元を確保し、評価額約100億人民元に達した事例は、中国の大手企業が自社の技術資産を基にAIロボット分野へ積極的な投資を行っていることを示唆する。これは、日本の自動車メーカーや電機メーカーが、自社の持つAI・ロボット関連技術を独立事業として展開する、あるいは中国企業との連携を模索する新たな機会となり得る。

最後に、CCTVの旧正月番組でヒューマノイドロボットが注目を集めたように、中国ではAIロボットへの国民的関心と需要が急速に高まっている。これは、日本のサービスロボットやヒューマノイドロボット開発企業にとって、中国市場への参入障壁が低くなる可能性がある一方、現地のニーズに合致した製品開発が不可欠となる。日本の技術力と中国の市場規模を組み合わせることで、新たなビジネスモデルが生まれる可能性も秘めている。