中国船舶集団(CSSC)傘下の第725研究所は17日、世界最大となる船舶用ローターセイル(風力推進補助装置)を開発したと発表した。燃料消費を最大25%削減できるとしており、強化が進む国際的な環境規制に対応し、海運業界の脱炭素化を推進する狙いだ。新華社通信などが伝えた。
独自技術で開発、燃料消費を最大25%削減
発表されたローターセイルは、中国の完全にな独自技術によって開発された。遼寧省大連市で、実物大の装置を用いたあらゆる状況を想定した陸上試験を完了している。
この装置は、航行する船舶上で円筒を回転させ、風との間に発生する圧力差(マグナス効果)を推進力に変える仕組みだ。船舶のエンジンへの負荷を軽減することで、燃料消費を5%から25%削減し、それに応じて二酸化炭素(CO2)の排出量も削減できるという。同研究所は、この技術が世界の海運業界の持続可能な成長に大きく貢献できると期待を示している。
脱炭素化に向けた国家戦略の一環
中国政府は、2025年までに船舶からのCO2排出量を削減する目標を掲げており、今回の開発もその国家戦略の一環とみられる。中国船舶集団は、この目標達成に向けてローターセイルの実用化を急ぐ方針だ。
専門家は、この技術が船舶の環境性能を向上させる有効な手段であるとの見方を示している。一方で、多様な気象条件下での安定性確保や、既存の船舶への搭載コストなど、本格的な普及には技術的・経済的な課題も残されている。船主にとっては、燃料費の削減による経済的利益と、初期投資のバランスが導入の鍵となる。
日本の関連性
中国船舶集団(CSSC)による世界最大のローターセイル開発は、日本の海運・造船業界に直接的な影響を与える。第一に、国際海事機関(IMO)の強化される環境規制下で、燃料消費を最大25%削減するこの技術は、日本郵船や商船三井といった日本の大手海運会社にとって、コスト削減と環境対応の両面で魅力的な選択肢となる。CSSCが独自技術で開発したと強調している点から、将来的に同社がローターセイル搭載船の建造で優位に立ち、日本の造船所が受注競争で不利になる可能性がある。
第二に、この技術は中国政府の2025年までのCO2排出量削減目標達成に向けた国家戦略の一環であり、中国国内での普及が加速する可能性が高い。これにより、中国が環境技術を武器に海運・造船分野での国際的な主導権をさらに強化する恐れがある。日本の造船所は、自社での環境技術開発を加速させるか、CSSCのような中国企業との技術提携を模索するか、戦略的な判断を迫られる。
第三に、ローターセイルは既存の船舶への搭載コストや多様な気象条件下での安定性といった課題を抱える。日本の企業は、これらの課題解決に向けた技術開発や、より効率的な代替技術(例:アンモニア燃料船、水素燃料船)への投資を加速させることで、中国との差別化を図る機会がある。特に、エンジンへの負荷軽減と燃料費削減のバランスは船主にとって重要であり、日本の企業は総合的なソリューション提案で競争力を維持できる。