中国の株式市場でAI(人工知能)関連銘柄への注目が続いている。一部で過熱感が指摘される中、大手証券会社のCITIC(中信)建投証券は、堅調な業績を背景に株価にはなお上昇余地があるとの分析を公表した。過去のバブルとは異なるとし、相場を牽引する新たな主役になる可能性を指摘している。

海外市場の活況も追い風

中国の大型連休中に、海外のハイテク株、特に半導体メモリーと光通信の分野が堅調に推移したことが追い風となっている。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーといったメモリー大手や、シエナ、ルメンタムなどの光通信関連企業が軒並み高値を更新した。この世界的な潮流が、中国国内でAIの計算能力を支える関連銘柄にも波及するとの期待が高まっている。

「まだバブルではない」4つの根拠

CITIC(中信)建投証券は、現在のAI関連株への投資は過去のバブルとは異なると分析し、以下の4つの根拠を挙げている。

第一に、公募ファンドの通信セクター(AI関連を含む)への投資比率は約10%と、過去にバブル化した白酒(中国の高級蒸留酒)セクター(約19%)や新エネルギー車セクター(約17%)のピーク時に及んでいない。

第二に、AIセクターへの資金集中は期間が短く、2〜3年続いた過去の事例と比べて日が浅い。

第三に、株価の割安度を示すPEGレシオ(株価収益成長率)の中央値が0.96倍と、過去のバブル崩壊時の3倍超に比べて依然として低い水準にあることだ。

第四に、機関投資家の資金流入が継続しており、上昇局面はまだ続いていると分析している。

堅調な業績が株価上昇を後押し

この強気な見方を支える最も重要な根拠は、堅調な企業業績である。2024年第1四半期におけるAI関連サプライチェーン企業の純利益成長率(中央値)は100%を超えており、成長は鈍化するどころか加速している。過去のバブルでは期待先行で株価が上昇したが、今回は力強い業績が伴っている点が大きく異なると、同証券は指摘する。

今後、機関投資家の資金がAIセクターへ継続的に流入し、好業績が維持されるかどうかが、相場の持続性を見極める鍵を握る。

結論:日本への示唆

中国AI株の堅調な動向は、日本企業にとって二つの明確な機会と一つのリスクを提示する。まず、サムスン電子やSKハイニックス、マイクロン・テクノロジーといった海外メモリー大手が高値を更新している事実は、日本の半導体製造装置メーカーや素材メーカーにとって、中国AI関連企業からの需要増大を意味する。例えば、東京エレクトロンやSCREENホールディングスといった企業は、中国AIインフラ投資の加速に伴う設備投資の恩恵を直接的に享受する可能性がある。

次に、中国の公募ファンドにおける通信セクター(AI関連含む)への投資比率が約10%に留まり、過去のバブルセクターと比較して低い水準である点は、日本企業が中国AI市場へ参入する際の「過熱感」リスクが相対的に低いことを示唆する。特に、画像認識や自然言語処理など、特定のAI技術に強みを持つ日本のスタートアップや中小企業は、中国市場への技術供与や共同開発を通じて、新たなビジネスチャンスを掴む余地がある。

一方で、2024年第1四半期における中国AI関連サプライチェーン企業の純利益成長率が100%を超えるという驚異的な伸びは、日本企業が中国市場で競合する際の難易度を高める。特に、中国国内で急成長するAI関連企業は、日本企業がこれまで培ってきた技術的優位性を急速に追い上げ、あるいは凌駕する可能性を秘めている。この競争激化は、日本企業が中国市場でシェアを維持・拡大するための戦略再考を迫る。