中国のテクノロジー企業がAI(人工知能)や新エネルギー車(NEV)分野で急速に影響力を拡大している。政府の強力な後押しと巨大な国内市場を背景に、Alibabaテンセントファーウェイといった巨大IT企業が世界市場を席巻。特許出願数では米国を上回る分野も現れ、世界の技術覇権競争は新たな局面を迎えている。

AIとビッグデータが競争力の源泉

中国は14億人の人口から得られるビッグデータを活用し、AI開発で世界をリードしている。特に顔認証や音声認識、決済システムなどの分野では、センスタイムメグビーといったスタートアップも急成長を遂げた。EC大手のAlibabaやSNS大手のテンセントは、自社サービスで培ったAI技術をクラウド事業などを通じて外部にも提供し、産業全体のデジタル化を推進している。

新エネルギー車(NEV)で世界市場を席巻

自動車産業では、中国はNEV分野で世界のトップランナーとなった。BYDは2023年に米テスラを抜き、EV販売台数で世界首位に浮上。車載電池分野でもCATL寧徳時代新エネルギー科学技術)が世界シェアの3割以上を握る。新華社通信によると、政府は「中国製造2025」計画のもと、補助金やインフラ整備を積極的に進め、国内メーカーの競争力を高めてきた。

5Gから半導体まで、国家戦略で技術を育成

通信技術においても、ファーウェイ(ファーウェイ技術)ZTE(中興通訊)は5G関連の特許で世界の上位を占める。米国の制裁により先端半導体の調達に困難を抱える一方、中国政府は国内の半導体産業育成に巨額の資金を投じ、サプライチェーンの自給自足を目指す動きを加速させている。この動きは、世界の半導体供給網に大きな影響を与え始めている。

日本にとっての意味

中国のAI・EV分野における技術覇権追求は、日本の産業界に直接的な脅威と同時に、新たな事業機会をもたらす。

まず、BYDが2023年にテスラを抜きEV販売台数世界首位に躍り出たことは、日本の自動車メーカーにとって喫緊の課題だ。中国政府の「中国製造2025」計画に基づく補助金と国内インフラ整備は、日本のEVシフトの遅れを一層際立たせる。日本の自動車部品メーカーは、中国EVメーカーへの部品供給を強化するか、EV向け製品への転換を加速しなければ、既存のサプライチェーンにおける地位を失うリスクがある。

次に、CATLが車載電池で世界シェア3割以上を占める現状は、日本の電池メーカーにとって厳しい競争環境を示す。日本の電池メーカーは、全固体電池など次世代技術での優位性を確立し、中国勢との差別化を図る必要がある。また、中国のAI技術が14億人のビッグデータを活用し、顔認証や決済システムで先行している点は、日本のIT企業が中国市場で競争する上での障壁となる。日本の企業は、中国のデータ活用モデルから学びつつ、プライバシー保護やセキュリティを重視した独自のAIソリューション開発に注力すべきだ。

最後に、ファーウェイのような企業が5G特許で上位を占め、中国が半導体自給自足を目指す動きは、日本の半導体製造装置メーカーや素材メーカーにとって、中国市場での新たなビジネスチャンスとなる可能性がある。米中対立の狭間で、日本企業は技術移転や共同開発のあり方を慎重に見極めながら、中国の巨大な需要を取り込む戦略を練る必要がある。