中国の習近平国家主席(共産党総書記)は、2026年に始まる次期「第15次五カ年計画」の策定に向け、机上の空論を排し「実践」を重視するよう指示した。特に、新たな経済成長の柱と位置づける「新質生産力」(新しい質の生産力)の創出において過熱やバブル化を防ぎ、情報技術などの未来産業を育成する方針を明確にした。新華社通信などが伝えた。
第15次五カ年計画に向けた基本的に方針
習氏は、第15次五カ年計画が「社会主義現代化を基本的に的に実現する」上で極めて重要な時期にあると指摘。計画策定にあたっては、現実に即して課題を解決するアプローチを求め、「着実な実行」の重要性を繰り返し強調した。
これは、過去の計画で見られたような、スローガン先行で実態が伴わない状況を戒めるものとみられる。習氏は、時代の潮流を的確に捉え、客観的な法則性に従って計画を推進する必要があるとの考えを示した。
「新質生産力」創出と過熱への警戒
習氏は、中国経済の新たな原動力として「新質生産力」の発展を掲げている。一方で、地方政府などが補助金目当てに一斉に投資に殺到し、過熱やバブル化を招く事態を強く警戒している。
同氏は、各地域が画一的な開発を目指すのではなく、それぞれの地理的条件や資源、産業基盤といった地域の特性に応じた開発を進めるべきだと指示。これにより、産業の重複投資や無秩序な競争を避け、持続可能な発展を目指す考えだ。
未来産業と技術革新を重視
習氏の指示は、具体的な行動にも表れている。同氏は最近、国家情報技術応用革新産業パーク(信創園)を視察し、国産技術による情報技術革新の状況を把握した。これは、米国の技術規制に対抗し、国内の技術自立を加速させる狙いがある。
また、党中央政治局も集団学習会を開き、先進的な戦略の展開と未来産業の育成について議論した。AIやバイオテクノロジー、新エネルギーといった分野が、第15次五カ年計画における重点分野となる可能性が高い。
日本企業への示唆
習近平国家主席が「第15次五カ年計画」で「実践」と「新質生産力」を強調したことは、日本企業にとって二つの明確なリスクと一つの機会を提示する。
第一のリスクは、中国政府が「過熱やバブル化を防ぎ、情報技術などの未来産業を育成する方針を明確にした」ことにより、これまで中国市場で規模の拡大を追求してきた日本企業が、過剰な設備投資や重複投資の対象と見なされ、政策的な抑制を受ける可能性である。特に、中国国内で既に供給過剰が指摘される汎用品分野で事業を展開する日本企業は、投資計画の見直しを迫られる可能性がある。
第二のリスクは、習氏が「国産技術による情報技術革新」を加速させる方針を示したことである。これは、米国による技術規制への対抗策であり、中国市場における日本企業の技術や部品の需要が、国産品への切り替えにより減少する可能性を意味する。特に、半導体製造装置や高機能材料など、中国の技術自立のターゲットとなる分野で高いシェアを持つ日本企業は、代替品の開発動向を注視し、中国市場依存度を再評価する必要がある。
一方で、AIやバイオテクノロジー、新エネルギーといった「未来産業」が重点分野となることは、日本企業にとって新たな機会となる。これらの分野で高い技術力を持つ日本企業は、中国政府が「地域の特性に応じた開発」を促す中で、特定の地域やプロジェクトに特化した技術協力や共同開発の機会を模索できる。ただし、技術流出リスクにはこれまで以上に厳格な管理が求められる。
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