中国人民解放軍空軍(以下、中国空軍)が、即応能力の向上を目的とした新たな高強度訓練を年初から開始したことが分かった。台湾海峡を管轄する東部戦区の部隊が中心となり、24時間体制での出動を想定した訓練を常態化させている。これは、東アジアにおける緊張の高まりを受けた動きとみられる。
24時間即応体制の構築
中国中央テレビ(CCTV)の報道によると、東部戦区に所属するある航空旅団は、今年1月から戦術訓練、空中給油訓練、夜間飛行訓練を含む複合的な演習を連日実施している。特に、台湾有事を想定した長距離夜間飛行や、悪天候下での作戦遂行能力の向上が重点プロジェクトとなっている。
同部隊の指揮官は、「戦争に休みはない。我々は365日、いかなる時も出動できる情勢を維持しなければならない」と述べ、常に臨戦情勢にあることの重要性を強調した。この動きは、軍全体の即応性と実戦能力を新たな水準に引き上げることを目指すものだ。
最新鋭機の配備と戦術の高度化
中国空軍は近年、装備の近代化を急速に進めている。特に、第5世代ステルス戦闘機 「J-20(殲-20)」 の配備拡大が戦闘力向上の核となっている。J-20は高いステルス性能と長距離航行能力を持ち、敵の防空網を突破する能力に優れるとされる。
今回の訓練では、J-20と早期警戒管制機(AWACS)や電子戦機との連携が図られ、より高度な統協力戦能力の検証が行われている模様だ。こうした実戦的な訓練の強化は、中国が掲げる「積極防衛」戦略の一環であり、有事における作戦遂行能力への自信の表れともいえる。
日本企業への示唆
中国空軍が東部戦区で24時間体制の即応訓練を常態化させ、J-20ステルス戦闘機の配備を拡大していることは、日本にとって複数の具体的な影響をもたらす。
まず、台湾有事の蓋然性が高まることで、日本のシーレーン安全保障に直接的なリスクが生じる。台湾海峡を通過する日本の貿易船は年間約4,200隻に上り、その航行が阻害されれば、エネルギーや食料の安定供給に深刻な影響が出る。特に、中国空軍が夜間飛行訓練や悪天候下での作戦遂行能力を向上させている点は、有事の際に日本の海上交通路が昼夜を問わず脅かされる可能性を示唆する。
次に、J-20とAWACSの連携強化は、日本の防空網に対する脅威を増大させる。J-20の高いステルス性能は、日本の航空自衛隊のレーダー網による探知を困難にし、既存の防空システムでは対応が追いつかない事態も想定される。これにより、日本の防衛費は、J-20に対抗しうるF-35戦闘機の追加導入や早期警戒システムの強化といった形で、さらなる増大を余儀なくされる可能性が高い。
最後に、中国の軍事力強化は、沖縄県など南西諸島における偶発的な衝突のリスクを高める。東部戦区の部隊が台湾有事を想定した訓練を強化していることは、尖閣諸島周辺を含む東シナ海での活動活発化に繋がりかねない。これにより、漁業活動や民間航空機の運航にも影響が出ることが懸念される。