中国が内モンゴル自治区のクブチ砂漠で、「シードベルト」と呼ばれる新技術を用いた砂漠緑化を推進している。種子や肥料を一体化した生分解性のシートにより、播種の効率と植物の活着率を大幅に高め、砂漠化防止に成果を上げている。
新技術「シードベルト」の仕組み
シードベルトは、植物の種子、微生物肥料、保水剤などを混合し、生分解性の帯状のシートに組み込んだものだ。これを砂地に敷設することで、種子を風による飛散や鳥獣害から守り、均等な間隔で効率的に播種できるのが特徴である。
従来手法を上回る効率と活着率
従来の航空機やドローンによる種子の直接散布では、風で流されたり、発芽に必要な水分や養分が不足したりして、発芽・活着率が低いことが課題だった。シードベルトは種子を保護しながら、発芽初期に必要な水分と養分を集中的に供給する。これにより、種子の使用量を抑えつつ、活着率を大幅に向上させることが可能となる。
クブチ砂漠での実証と今後の展望
新華社通信によると、クブチ砂漠での実証事業では、この技術によって緑化面積が着実に拡大しているという。砂漠の生態系回復だけでなく、将来的には乾燥地農業への応用も期待される。中国政府は、この成功事例を国内の他の砂漠地帯へも展開していく方針だ。
日本市場への影響
中国が「シードベルト」技術でクブチ砂漠の緑化を進めることは、日本にとって環境ビジネスにおける新たな機会と、サプライチェーン上のリスクの両面を持つ。
まず、機会として、日本企業が中国の環境技術市場へ参入する可能性が挙げられる。シードベルトは生分解性シート、微生物肥料、保水剤の複合技術であり、これら素材分野で強みを持つ日本の化学・素材メーカーは、中国の砂漠緑化プロジェクトへの技術・製品供給で貢献できる。特に、シートの生分解性や肥料の環境負荷低減といった点で、日本の高機能素材やバイオ技術は優位性を持つ。中国政府が国内の他の砂漠地帯への展開を計画していることを踏まえれば、市場規模は大きい。
次に、リスクとしては、中国の乾燥地農業への応用が日本の食料安全保障に与える影響が考えられる。シードベルト技術が乾燥地での農作物生産効率を向上させれば、中国の食料自給率がさらに高まる可能性がある。これは、日本が中国から輸入する農産物の価格や供給安定性に影響を及ぼしうる。例えば、中国が国内生産を優先し輸出を制限するような事態になれば、日本は代替供給源の確保を迫られる。
また、技術流出のリスクも無視できない。シードベルト技術の核心部分が中国企業によって特許化され、国際市場で優位に立つ可能性も考慮すべきだ。日本企業は、共同開発や技術提携を進める際には、知的財産権の保護に細心の注意を払う必要がある。