TikTokの中国版であるDouyin (Douyin(抖音)) のEコマース部門「Douyin EC」は、2024年上半期の最新データを公表した。それによると、店舗によるライブ配信(店舗ライブ)経由で売上を伸ばした出店者数が前年同期比で45%増加し、事業の急成長を牽引していることが明らかになった。一方、商品棚(シェルフ)型ECも同49%成長したが、伸び率は鈍化傾向にある。

ライブコマースが成長の原動力

Douyin ECの成長の原動力は、ショート動画やライブ配信といったコンテンツと連動したEコマースだ。特に、出店者自身がライブ配信を行う「店舗ライブ」が好調で、これにより売上を拡大した出店者数は前年同期比で45%の大幅増となった。ユーザーがコンテンツを楽しみながら衝動的に商品を購入するモデルが、Douyinの強みとして確立されている。

シェルフ型ECの課題と競争激化

一方で、ライブ配信以外の伝統的な商品陳列機能である「シェルフ型EC」は課題に直面している。売上は前年同期比で49%増加したものの、その成長率は鈍化傾向にあると報じられている。背景には、AlibabaグループやJD.com(JD.com(京東))といった競合大手が、30分1時間で商品を届ける「即時配送サービス」に注力していることがある。Douyin ECもこの分野への対応が急務となっており、配送能力や物流網の強化が今後の成長の鍵を握る。

日本への影響と今後の展望

Douyin ECのライブ配信モデルの急成長は、日本企業にとって二つの明確な機会と一つのリスクを提示する。まず、ライブ配信経由で売上を伸ばした出店者数が前年同期比45%増加した事実は、中国市場における新たな販売チャネルの有効性を示す。特に、化粧品やアパレルなど、視覚的訴求が重要な日本ブランドは、Douyinのコンテンツ連動型ECを積極活用することで、従来のECモールではリーチできなかった新規顧客層を獲得できる可能性がある。

次に、JD.comのような既存大手との即時配送競争激化は、日本企業に物流戦略の見直しを促す。Douyin ECがシェルフ型ECの成長鈍化に直面し、配送能力強化を急務としている現状は、中国における消費者ニーズが「速さ」にシフトしていることを明確に示唆する。日本企業は、現地パートナーとの連携強化や、サプライチェーンの最適化を通じて、即時配送に対応できる体制を構築する必要がある。

一方で、Douyin ECの成長がコンテンツ連動型に偏重している点は、日本企業にとってリスクとなり得る。高品質なライブ配信やショート動画制作には専門知識と継続的な投資が不可欠であり、これに対応できない企業は、Douyin ECの恩恵を十分に享受できない可能性がある。単なる商品陳列に留まらない、エンターテイメント性を含んだコンテンツ戦略の構築が求められる。