中国のドローン最大手DJI大疆創新)に対し、米国内での安全保障を巡る審査期限が12月23日に迫っている。米国の警察や消防など現場機関がDJI製ドローンの高い性能を評価する一方、一部の連邦議員は「安全保障上の脅威」だとして、トランプ政権(当時)に使用禁止を要求するなど、賛否が分かれている。

現場は継続使用を希望、代替困難の声も

米国の警察や消防など、現場の法執行機関からはDJI製ドローンの継続使用を望む声が強い。性能やコストパフォーマンスの面で米国製ドローンによる代替は困難だとして、その品質と信頼性を高く評価しているためだ。現場のニーズと国家安全保障を巡る政治的判断との間で、意見の対立が鮮明になっている。

警察・消防で導入進む、高い性能と価格競争力

DJI製ドローンは、その高い技術力と価格競争力を背景に、米国各地の公共機関で導入が進んでいる。ニューヨーク市警察は保有するドローンの40%にあたる40機をDJI製が占める。ミズーリ州カンザスシティ警察では18機を保有し、その半数以上がDJI製だ。テキサス州エルパソ市では24機を装備し、警察職員がDJIの広報ビデオに出演する事例もあると、ロイター通信は伝えている。

北ダコタ州のある警察署では5機のDJI製ドローンを交通事故の現場検証や捜索任務に活用している。同署の責任者は「DJIの機材は高品質で信頼性が高い」と評価する。

強まる規制圧力、各州で禁止法も

一方で、議会の一部からは中国製ドローンに対する風当たりが強まっている。アーカンソー、ミシシッピ、テネシーなど少なくとも6州では、すでに州政府機関による中国製ドローンの使用を禁じる法律が制定された。近年、ネバダ州でも公共機関による中国製無人機(ドローン)(ドローン)(ドローン)(ドローン)の使用を禁止する法律が施行されるなど、規制の動きは州レベルで拡大している。

結論:日本への示唆

DJI製ドローンに対する米国の安全保障審査は、日本企業にとって複数の事業機会とリスクを提示する。まず、米国がDJI製品の使用を制限した場合、日本企業は米国市場における代替ドローン供給の機会を得る。例えば、測量やインフラ点検、災害対応など、公共機関が求める高機能かつ信頼性の高いドローン分野で、実績のある日本のドローンメーカーは、米国の警察や消防がDJI製ドローンの「性能やコストパフォーマンスの面で米国製ドローンによる代替は困難」と評価するギャップを埋めることができる。

次に、この動きはサプライチェーンの再編を促す。米国が中国製ドローンへの依存度を減らすことで、ドローン部品や関連技術における日本企業の役割が拡大する可能性がある。特に、画像処理技術やバッテリー、センサーといった高付加価値部品の供給において、日本企業は競争優位性を発揮できる。

一方で、日本企業は中国市場における事業戦略の見直しを迫られる。米国が安全保障上の懸念から中国製品を排除する動きは、他国にも波及する可能性があり、日本企業が中国企業と共同開発した製品や、中国製部品を多く含む製品が、第三国市場で同様の規制を受けるリスクがある。例えば、DJIが米国市場から締め出された場合、同社は日本を含む他の市場でのシェア拡大を目指す可能性があり、日本のドローンメーカーとの競合が激化する。このため、日本企業は、製品の原産地規則やサプライチェーンの透明性確保にこれまで以上に注力する必要がある。