語学学習アプリ大手のDuolingoは2024年4月、従業員のAI(人工知能)利用状況を人事評価の指標とする方針を撤回したと発表した。ルイス・フォン・アーン最高経営責任者(CEO)が明らかにしたもので、「AI-First」を掲げてきた同社の戦略に変化が見られる。
「AI-First」戦略の修正
Duolingoは2023年以降、AI活用を積極的に推進する「AI-First」戦略を掲げてきた。その一環として、従業員のAIツール使用状況を人事評価に含める方針を導入していたが、今回の発表でこれを取りやめる。
アーンCEOは方針転換について、AIの利用を強制するのではなく、従業員が業務効率化のために自主的に選択できるようにすることが重要との認識を示した。専門家の間では、この変更がAI導入を進める他社のモデルケースになりうるとの指摘が出ている。
AIによるコンテンツ生成で急成長
同社は2023年に米OpenAIと提携し、AIを活用した高度な会話練習機能などを提供するサブスクリプションプラン「Duolingo Max」を導入。このサービスは利用者の支持を集めている。
AIによるコンテンツ生成も拡大しており、2024年には7,500以上の新規コンテンツを作成したと報告されている。こうしたAI活用による効率化が業績を押し上げ、2024年の総売上高は前年比40%増の8.7億ドルに達した。
日本市場への影響
DuolingoのAI人事評価撤回は、日本のEdTech企業に対し、AI導入における「強制」と「自律」のバランスを再考させる契機となる。同社が従業員のAIツール使用状況を人事評価に含める方針を取りやめたことは、AI活用が効率化に寄与する一方で、従業員の自律性を損なう可能性を示唆する。日本の教育コンテンツプロバイダーや学習塾がAIベースの個別指導システムを導入する際、学習者の利用状況を成績評価に直結させるような設計は、学習意欲の低下やAIへの過度な依存を招くリスクがある。
また、Duolingoが2024年に7,500以上の新規コンテンツをAIで生成し、総売上高が前年比40%増の8.7億ドルに達した事実は、AIによるコンテンツ自動生成が事業成長の強力なドライバーとなることを明確に示した。日本の出版業界や教育ベンダーは、AIを活用した教材開発やコンテンツ生成に一層注力すべきである。特に、少子高齢化で市場規模が縮小する中、AIによる多言語対応コンテンツの迅速な展開は、海外市場への新たなビジネスチャンスを創出する可能性を秘める。例えば、日本の大学や語学学校がAIを活用して、日本語学習者向けの多様なコンテンツを効率的に生成し、Duolingo Maxのようなサブスクリプションモデルで提供することで、国際的な競争力を高められるだろう。