中国で工業用品の電子商取引(EC)プラットフォームを運営するRuiGu(锐锢商城)が、香港証券取引所に上場を申請した。米国の対中半導体規制が強まる中、同社は中国国内の製造業、特に半導体関連産業のサプライチェーンを支える重要な役割を担っているが、経営は赤字が続いている。

22万社を支える「陰のサプライヤー」

RuiGuは2013年、創業者である高玚氏が上海の工場向けにオンラインで部品販売を始めたのが起源だ。現在では、金物・工具店や中小工場など22万社を超える顧客を抱え、部品や消耗品を供給する巨大プラットフォームへと成長した。

同社のビジネスモデルは、多品種少量生産を行う中小の製造業者に対し、デジタル化された調達・在庫管理ソリューションを提供することにある。これにより、従来は非効率だったサプライチェーンを最適化し、中国製造業のバックエンドを支える「陰のサプライヤー」としての地位を確立している。

米中対立下の赤字経営

事業規模が拡大する一方、同社の経営は厳しい状況にある。上場目論見書によると、2022年と2023年の2年間で、同社は約19億人民元(約410億円)の純損失を計上した。米中対立を背景とした米国の対中半導体規制は、サプライチェーンに混乱をもたらし、同社の収益を圧迫する一因となっている。

中国政府は半導体の国産化を強力に推進しており、この動きは国内の半導体関連企業に新たな部材需要をもたらしている。これはRuiGuにとって大きな事業機会となるが、同時にに地政学リスクの高まりが経営の不確実性を増大させている。赤字を抱えたままでのIPOは、今後の成長資金確保に向けた重要な一手となる。

結論:日本への示唆

RuiGuの香港IPO申請は、日本の製造業、特に中小企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、同社が22万社を超える顧客を抱え、中国国内の製造業サプライチェーンの「陰のサプライヤー」として機能している点は、日本企業が中国市場で部品・部材を調達する際の新たな選択肢、あるいは競合となりうる。RuiGuのプラットフォームが効率的な調達・在庫管理ソリューションを提供することで、中国国内での部品調達コストが相対的に低下する可能性があり、これは日本企業の中国拠点におけるコスト競争力に影響を与える。

第二に、RuiGuが直近2年間で約19億人民元の純損失を計上しているにもかかわらずIPOを強行する背景には、米国の対中半導体規制下で中国政府が国産化を強力に推進している現状がある。これは、日本企業が中国市場で半導体関連製品や部材を供給する際に、RuiGuのような国内プラットフォームを通じて、よりローカルなサプライヤーとの連携を強化する必要性を示唆する。日本の半導体製造装置メーカーや素材メーカーは、直接的な取引だけでなく、RuiGuのようなECプラットフォームを介した中国国内サプライチェーンへの組み込みを検討することで、新たな販路開拓の機会を見出せる。一方で、RuiGuの赤字経営は、中国国内サプライチェーンの不安定性を示唆しており、日本企業が中国市場で事業を展開する上でのリスク要因となる。