中国で2025年12月、電動自転車の新たな安全技術基準「GB 17761-2024」が施行される。これにより旧基準のモデルは全面的に販売が禁止され、新基準に適合した製品のみが市場で流通可能となる。この強制規格は、2024年7月に施行されたリチウムイオン電池の安全技術基準に続くもので、電動自転車の安全性をさらに高めることを目的とする。
発火事故多発を受け、安全基準を大幅強化
近年、中国国内で電動自転車の保有台数が増加する一方、それに伴う火災や交通事故が多発していた。中国の応急管理省は2024年9月、電動自転車による火災を防ぐため、危険な充電行為の厳格な規制や違法改造の取り締まり強化を発表。その結果、火災件数は大幅に減少したという。
今回の新基準では、プラスチック部品の総重量を車両重量の5.5%以下に制限。さらに、サドルやバッテリーケースといった重要部品には高難燃性材料の使用を義務付ける。非金属部品全般にも防火・難燃性に関する指標が設定され、発火リスクの低減を図る。
実用性も向上、重量上限は63kgに緩和
新基準は実用性の向上も目指しており、ブレーキ性能の要件を強化し、特に湿潤状態での制動距離を短縮する。また、ペダルの設置義務をなくし、車両の重量上限を63kgに引き上げることで、より大容量のバッテリー搭載を可能にし、航続距離の延長を促す。
中国自転車協会は、新基準が安全性と実用性を両立させ、消費者の多様なニーズに応えるものだと評価している。新華社通信によると、すでに国内の100社以上が600を超える新基準対応モデルを開発中だという。
日本市場への影響
中国の新たな電動自転車安全基準「GB 17761-2024」は、日本企業にとって直接的な市場機会とサプライチェーン再編のトリガーとなる。第一に、プラスチック部品の総重量を車両重量の5.5%以下に制限し、高難燃性材料の使用を義務付ける点は、日本の高機能樹脂メーカーに新たなビジネスチャンスをもたらす。例えば、帝人や旭化成といった企業は、耐熱性や難燃性に優れたエンジニアリングプラスチックや複合材料の開発・供給において、中国市場での需要拡大を見込める。
第二に、重量上限が63kgに緩和され、大容量バッテリー搭載が促されることで、日本製の高密度リチウムイオンバッテリーや関連部材の需要が増加する可能性がある。パナソニックエナジーや村田製作所のようなバッテリーメーカーは、中国の電動自転車メーカーへの供給を強化することで、売上拡大を図れる。特に、安全性と信頼性が重視される高性能バッテリー市場において、日本の技術優位性が発揮される余地は大きい。
最後に、旧基準モデルの販売禁止により、中国国内で100社以上が600を超える新基準対応モデルを開発中であることは、日本企業が中国メーカーとの協業を通じて、新技術や部品を供給する機会を創出する。例えば、ブレーキ性能の強化は、日本のブレーキ部品メーカーである曙ブレーキ工業や日清紡ブレーキにとって、高性能部品の供給先として中国市場が浮上する可能性を示唆している。これらの変化は、単なる規制強化に留まらず、日本企業が中国の巨大市場で新たな価値を創造する契機となる。
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