中国石油(ペトロチャイナ)天然気集団(ペトロチャイナ)は、電気自動車(EV)の充電サービスを大幅に拡大する。同社は2025年までに全国の充電スタンドを6000カ所以上、充電器を8万基以上に増やす計画だ。既存のエネルギーインフラを活用し、次世代の交通需要に対応する。

主に経済圏に高密度ネットワークを構築

ペトロチャイナは、EV充電サービス「崑崙(クンルン)」ブランドで、全国規模の充電ネットワーク構築を加速させている。北京・天津・河北、長江デルタ、広東・香港・マカオ大湾区、成都・重慶といった主に経済圏に重点的に充電スタンドを配置する戦略だ。

特に北京・天津・河北地区では、すでに950カ所以上を設置しており、同地域における充電スタンド総数の15.3%を占める。高密度で広範囲なネットワークを構築し、全国のEV利用者に利便性の高いサービスを提供すると、中国メディアは報じている。

技術革新でサービス高度化、VPP実証も

同社は技術革新にも注力する。戦略計画に「超急速充電と蓄電」の組み合わせを盛り込み、「マイクログリッドと仮想発電所(VPP)」の実証事業も開始した。これにより、電力網の安定化にも貢献する狙いだ。

また、アルゴリズムと演算能力を活用し、設備の故障を5分以内に検知して30分以内に復旧させる高度な運用体制を確立。利用者向けサービスでは、会員情報や決済システムを統合し、単一のQRコードで全国の充電スタンドが利用できる仕組みを構築した。充電予約や共同購入といったスマート機能も提供し、多様なニーズに応えている。

日本市場への影響

ペトロチャイナが2025年までにEV充電網を6000カ所、充電器8万基に拡大する計画は、日本企業にとって複数の影響をもたらす。まず、中国市場におけるEV充電インフラの急速な整備は、日本の自動車メーカーが中国でEV販売を伸ばす上で、充電利便性の向上という追い風となる。特に、ペトロチャイナが北京・天津・河北、長江デルタといった主要経済圏に高密度ネットワークを構築することは、これらの地域でEV展開を図るトヨタやホンダといった日系メーカーにとって、販売戦略上重要な要素となる。

しかし、同時に競争激化のリスクも存在する。ペトロチャイナが「崑崙(クンルン)」ブランドで全国規模の充電ネットワークを構築し、単一QRコード決済や充電予約といったスマート機能を提供する中で、日本の充電インフラ関連企業が中国市場で存在感を示すことは一層困難になる。中国市場の充電規格が独自進化する可能性も考慮すると、日本の充電器メーカーは、中国市場への直接参入よりも、技術提携や部品供給といった形で関与する戦略を再検討する必要がある。

さらに、ペトロチャイナがVPP(仮想発電所)実証事業を開始し、エネルギー管理サービスを視野に入れている点は、日本の電力・エネルギー関連企業にとって新たな競争領域の出現を意味する。中国の巨大国有企業がエネルギーインフラとEV充電を統合する動きは、将来的に日本のエネルギーソリューションプロバイダーが中国市場で事業展開する際の障壁となる可能性がある。日本企業は、中国のエネルギー転換における国有企業の動向を注視し、独自の技術やサービスで差別化を図る必要がある。