中国の電動二輪車・三輪車メーカー大手、台銘(タイミン)が香港証券取引所への上場を申請した。同社は中国の電動二輪車市場で3位のシェアを占め、上場による資金調達で海外展開を加速させる狙いだ。創業は2004年で、創業者の孫木楚氏が率いている。

海外展開を視野に資金調達

台銘は近年、東南アジアやアフリカ市場を中心に海外進出を積極的に進めている。今回の香港上場は、さらなる事業拡大とブランドの国際的な認知度向上に向けた資金調達が主な目的だ。上場にあたり、主幹事はCITIC(中信)証券(CITIC Securities)と招商証券(China Merchants Securities)が共同で務める。

堅調な業績推移

決算報告によると、同社の業績は堅調に推移している。売上高は2023年通期で118.8億元(約2,376億円)、2024年通期で135.6億元(約2,712億円)に達した。2025年1〜9月期では、すでに153.4億元(約3,068億円)を記録している。純利益も同様に増加傾向にあり、2023年の10.5億元(約210億円)から、2025年1〜9月期には14.5億元(約290億円)に拡大した。

創業者一族が株式の過半数を保有

上場申請時点での株主構成は、創業者の孫木楚氏が24.65%を保有する筆頭株主となっている。その他、孫木鈴氏が23.77%、孫木鈗氏が22.01%を保有しており、創業家とみられる孫一族で議決権の過半数を占める。姚立氏も17.61%を保有する主に株主の一人だ。

日本への影響と示唆

中国EVバイク大手「台銘」の香港上場は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、台銘が上場で得た資金でアフリカや東南アジアでの海外展開を加速させることは、ヤマハやホンダといった日本の二輪車メーカーにとって、新興市場での競争激化を意味する。特に台銘が2025年1〜9月期に売上高153.4億元を記録するなど急成長している点を踏まえると、価格競争力で優位に立つ中国EV勢の攻勢は、日本のガソリン車中心のビジネスモデルに転換を迫るだろう。

第二に、EV二輪車の部品サプライヤーである日本企業には新たなビジネスチャンスが生まれる可能性がある。EV化の進展は、バッテリーやモーター、制御システムといった電動化関連部品の需要を拡大させる。日本の精密部品メーカーや電子部品メーカーは、台銘のような成長企業への供給を通じて、新たな収益源を確立できる。ただし、中国企業がサプライチェーンの国産化を進める傾向にあるため、技術力だけでなく、コスト競争力や現地生産体制の構築が不可欠となる。

第三に、金融市場の観点からは、CITIC証券や招商証券が主幹事を務める今回のIPOは、中国企業の資金調達能力の高さを示す。これは、日本企業が中国市場で事業展開する際に、中国国内の金融機関との連携がより重要になる可能性を示唆する。一方で、創業家が株式の過半数を保有する台銘の企業統治構造は、海外投資家にとってのリスク要因となる可能性も孕んでおり、日本企業が提携や投資を検討する際には、この点を慎重に評価する必要がある。