中国石油(ペトロチャイナ)天然ガス(ペトロチャイナ)傘下の昆侖物流新疆支社は、12月中旬に新疆地区を襲った強い寒波と大雪に対応するため、緊急輸送体制を構築した。12月17日から24日にかけて、2.8万トンの低凝固点軽油を供給し、エネルギーの安定確保に努めた。
寒波と大雪で緊急対応
12月17日以降、強い寒気の影響で新疆地区の伊犁河谷やウルムチ市などで大雪となり、一部山間部では猛吹雪に見舞われた。これを受け、ペトロチャイナ傘下の昆侖物流新疆支社は緊急対応計画を始動。凝固点の低い軽油の配送ペースを全面的に加速させ、配送頻度を増やすことで、新疆北部など重点地域のエネルギー供給を強化した。
同支社は12月17日から24日までの期間に、新疆全域へ2.8万トンの低凝固点軽油を配送。特に寒波の影響が深刻な伊犁、ボルタラ・モンゴル自治州、タルバガタイ地区、アルタイ地区、ウルムチ市などへの供給を重点的に行い、現地の石油需給を安定させた。
需要予測と資源の重点配分
同支社は事前に計画を策定し、具体的な対策を講じて低凝固点軽油の供給計画を立案した。各地の気温状況をリアルタイムで追跡するとともに、ペトロチャイナの販売・輸送部門との定期的な情報共有体制を強化。市場の需要動向を正確に把握し、需要の変化に応じて配送計画を柔軟に調整した。
また、生産経営部は市場需要の急増という実態を踏まえ、石油貯蔵庫の在庫をリアルタイムで監視する体制を構築。新疆北部の高地寒冷地帯への低凝固点軽油供給を最優先とし、資源を的確に配分した。
輸送管理の徹底と安全確保
「一部の給油所で-35号軽油の緊急需要が発生したのに対し、我々は配送センター間の広域支援体制を確立した。気温が急低下し、軽油販売量が急増した給油所を重点対象とし、個別対応で的確な供給を実施し、市場の需要に全力で応えている」と、昆侖物流新疆支社の生産経営部長である恵麒雲氏は述べた。
輸送管理面では、担当者と担当車両を固定し、専用ラインで供給を確保する一元的な配備方式を徹底。出発・到着時間や在庫状況などを報告する制度を導入し、輸送プロセス全体の追跡と管理を可能にすることで、緊急対応の効率を高め、石油製品の供給が途絶えないよう万全を期した。ハミ市やアルタイ地区など降雪量が多く路面凍結が深刻な地域に対し、配送車両の保温・凍結防止・滑り止め装置の点検を強化し、安全な輸送を確保した。
日本企業への示唆
今回のペトロチャイナによる新疆での緊急軽油供給は、日本企業にとって複数の示唆を与える。第一に、異常気象に伴うサプライチェーン寸断リスクの顕在化である。新疆地区で2.8万トンもの軽油が緊急供給された事実は、中国内陸部におけるエネルギー供給の脆弱性を示唆する。日本企業が新疆に生産拠点を有する場合、電力や燃料の供給停止により生産活動が滞るリスクを再認識し、代替エネルギー源の確保や、複数拠点での生産体制構築を検討する必要がある。
第二に、中国政府および国有企業の危機対応能力である。ペトロチャイナ傘下の昆侖物流新疆支社が、恵麒雲生産経営部長の指揮のもと、迅速な情報共有と柔軟な配送計画調整で供給を安定させた点は注目に値する。これは、緊急時における中国政府系企業の統制力と実行力が高く、有事の際にサプライチェーンが国家主導で管理される可能性を示唆する。日本企業は、中国における事業継続計画(BCP)策定において、政府や国有企業の介入を前提としたリスク評価と対策を講じるべきである。特に、エネルギー多消費型産業や物流に依存する産業は、中国のエネルギー供給体制の動向を注視し、供給網の多様化や在庫戦略の見直しを図る必要がある。