中国のIT機器メーカーEPOMAKERは、タイプライターを模したデザインが特徴の新型メカニカルキーボード「Glyph」を発売した。同社公式ストアで販売を開始しており、価格は699元(約1万5000円)。レトロな外観と現代的な機能を両立させ、ガジェット愛好家やデザイン性を重視するユーザー層を狙う。

レトロデザインと多機能の両立

「Glyph」は84キー配列を採用。本体上部には、多機能ディスプレイとスマートフォンや小型タブレットを設置できるスロットを備える。高品質で耐久性に優れたPBT素材のキーキャップは、タイプライターの感触を再現している。

デザインの核となるのが、本体左側に配置されたジョイスティックだ。このジョイスティックにはエンターキーとスペースキーの機能が割り当てられており、独特の操作感を提供する。右側には音量調整などに使えるコントロールノブを、背面にはアンビエントライトを搭載し、デザイン性を高めている。

高いカスタマイズ性と基本的に性能

内部構造には、打鍵感の安定性に寄与するトップマウント方式を採用。さらに5層の吸音材を内蔵し、静音性を追求した。EPOMAKERの公式発表によると、基板(PCB)はキースイッチのホットスワップに対応しており、ユーザーが好みのスイッチに交換できる。

標準搭載のキースイッチは、滑らかな打鍵感が特徴のリニアタイプ「紫藤花スイッチ」。有線接続時のポーリングレートは1000Hzに対応し、8000mAhの大容量バッテリーを内蔵していることから、無線接続にも対応するモデルとみられる。

日本への影響と示唆

EPOMAKERの「Glyph」キーボードは、中国メーカーがニッチな高付加価値市場で存在感を増している現状を示す。約1.5万円という価格帯は、これまで日本企業が得意としてきたデザイン家電や高機能ガジェットの領域と重なる。日本の家電メーカーやPC周辺機器メーカーは、単なる機能性だけでなく、レトロデザインと現代的機能を融合させた「Glyph」のような製品コンセプトに対し、競争戦略の見直しを迫られるだろう。

特に、ホットスワップ対応のPCBや「紫藤花スイッチ」標準搭載といった高いカスタマイズ性は、日本のユーザーが求める「こだわり」と合致する。日本のサプライヤーは、中国メーカーがこうした高機能部品を積極的に採用する動きを商機と捉え、高品質なキースイッチやキーキャップ、吸音材などの部品供給で連携を強化できる可能性がある。

一方で、EPOMAKERが公式ストアで直接販売し、中間流通を介さないビジネスモデルは、日本の流通網に依存してきた企業にとって脅威となり得る。日本の消費者が直接中国メーカーから購入する機会が増えれば、国内市場における価格競争が激化し、日本企業の収益性を圧迫するリスクがある。日本企業は、製品の企画段階から、デザイン性、機能性、そして販売戦略まで、より統合的な視点で市場を捉え直す必要がある。