中国の車載電池大手、国軒高科Gotion High-tech)が、次世代電池として期待される全固体電池の商用化に向けた具体的なロードマップを明らかにした。主要材料である硫化リチウムと固体電解質の量産体制を2026年から段階的に構築し、最終的に電池コストを1ワット時(Wh)あたり1人民元(約21円)まで引き下げるという野心的な目標を掲げている。この動きは、世界の電気自動車(EV)市場におけるバッテリー開発競争をさらに加速させるものとみられる。

主要材料の野心的な生産ロードマップ

計画の核心は、全固体電池の性能とコストを左右する主要材料の自社生産にある。同社は、硫化リチウムの生産能力を2026年に年間300トンで開始し、2027年には2万トン、2030年には5万トンへと急拡大させる方針だ。この5万トンの生産量は、EV約200万台分に相当する150ギガワット時(GWh)の全固体電池の需要を賄える規模であり、将来的には業界全体への材料供給も視野に入れている。また、もう一つの重要材料である固体電解質についても、2026年に年間2000トン、2030年には10万トン(100GWhの電池需要に相当)まで生産能力を引き上げる計画だ。

目標は「1元/Wh」へのコスト削減

国軒高科が最終目標として掲げるのは、全固体電池のコストを1Whあたり1元まで引き下げることだ。全固体電池は、現在主流のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、安全性にも優れる一方、製造コストの高さが普及への最大の障壁とされてきた。材料の内製化と大規模生産によってこの課題を克服できれば、航続距離が長く、より安全なEVを低価格で提供することが可能になり、市場の勢力図を塗り替える可能性がある。このコスト目標は、全固体電池の実用化に向けた同社の強い意志を示すものといえる。

すでに稼働中のパイロットライン

この計画は単なる構想ではない。国軒高科は2023年5月の時点で、設計生産能力0.2GWhの全固体電池パイロットラインをすでに建設済みだと発表している。特筆すべきは、このラインが100%自社開発であり、中核設備の国産化率も100%を達成している点だ。同ラインで試作されたセルのエネルギー密度は350Wh/kg、容量は70Ahに達しており、すでに車両への搭載テストも開始されている。これらの実績は、同社が量産計画を着実に実行する技術基盤を既に有していることを裏付けており、今後の開発動向が注目される。日本の電池メーカーにとっても、中国勢の急速な追い上げはサプライチェーンを含めた競争激化を意味し、戦略の見直しが迫られる可能性がある。