中国のバイオ医薬品企業、海思科(ハイスコ・ファーマシューティカル・グループ、深圳: 002653)は4月12日、2024年第1四半期(1〜3月期)の業績見通しを発表した。純利益は前年同期比で最大1095%増5億5700万元(約122億円)に達する見込みで、新薬の海外ライセンス契約が大幅な増益に貢献した。

業績見通しの詳細

同社の発表によると、2024年第1四半期の純利益は4億7700万元から5億5700万元の範囲になる見通しだ。これは前年同期比で923.34%から1094.97%の大幅な増加となる。また、ライセンス契約の一時金などを除いた非経常損益後の純利益も、前年同期比で791.94%から950.86%の増加を見込んでいる。

大幅増益の背景に大型契約

この急成長の主な要因は、2024年1月に締結された大型のライセンスアウト契約だ。同社は、自社開発の新薬候補「HSK39004」の海外における開発、生産、販売の独占的権利を米AirNexis Therapeutics社に供与した。

この契約により、海思科は契約一時金として1億800万ドルを受領。さらに、開発や販売の進捗に応じたマイルストーン支払いとして最大9億5500万ドルを受け取る可能性がある。第1四半期の業績には、この契約一時金が大きく寄与した形だ。

海思科の概要

2010年に設立された海思科は、新薬の研究開発を主力事業とするバイオ医薬品企業で、2020年に深圳証券取引所に上場した。今回の大型契約は、同社の研究開発能力が国際的に評価されたことを示す事例であり、中国のバイオテクノロジー産業の成長を象徴する動きとして注目される。

日本の関連性

海思科の純利益1095%増は、中国バイオ医薬品企業の国際競争力向上と、日本企業が直面する新たな機会とリスクを示す。まず、HSK39004の海外ライセンス契約による1億800万ドルの契約一時金は、中国製薬企業のR&D投資が国際市場で収益化される段階に入ったことを意味する。これは、これまで日本企業が強みとしてきた高付加価値医薬品開発における競争激化を招く。特に、日本国内市場の縮小傾向が続く中、中国発の革新的な新薬がグローバル市場に流入することで、日本の製薬企業は海外での販売戦略やR&D投資配分を再考する必要に迫られる。

次に、この成功モデルは、中国政府が推進するバイオテクノロジー産業育成策の成果であり、今後同様のライセンスアウト契約が常態化する可能性が高い。日本企業にとって、これは中国企業との提携を通じた新薬候補の共同開発や、中国市場へのアクセス拡大の機会を提供する。例えば、開発初期段階の有望な化合物を持つ中国バイオベンチャーとのライセンスイン契約は、自社のパイプラインを強化し、開発リスクを分散する有効な手段となり得る。

最後に、中国企業の資金力が強化されることで、M&Aを通じた日本企業への買収提案が増加するリスクも考慮すべきだ。特に、特定の技術やパイプラインを持つ中小規模の日本バイオベンチャーは、海思科のような潤沢な資金を持つ中国企業からのターゲットとなる可能性がある。これは、日本の技術流出や産業空洞化を招く一方で、経営難に陥る企業にとっては新たな選択肢を提供することにもなる。