中国・海南自由貿易港で、カナダのチョコレートブランドが海南島の特産品と融合させた独自の製品開発に成功し、新たな土産物として人気を集めている。自由貿易港の制度を活用し、中国本土や海外への事業拡大を目指す。

カナダブランドが見出した海南島の事業機会

カナダのチョコレートブランド「LATIO」の中国代理店を運営する孟偉偉氏は、海南自由貿易港に事業機会を見出した。2021年の中国国際消費品博覧会で同ブランドのチョコレートが大きな反響を呼んだことを受け、孟氏は海南島への投資を決めた。

特産品と融合した「海南チョコレート」の誕生

孟氏は、海南島の特産品であるパンダンリーフ(斑蘭葉)やココナッツをチョコレートと組み合わせ、独自の製品を開発。2023年の同博覧会で発表されたこの「海南チョコレート」は、消費者の間で好評を博した。

「食べられる名刺」として文化を発信

孟氏が設立した加緑巧食品製造(海南)有限公司は、製品開発だけでなく、パッケージにも注力している。海南島のランドマークである「騎楼老街」や「世紀大橋」をデザインに取り入れ、観光客向けの土産物としての地位を確立した。孟氏は「我々は単なるチョコレートではなく、海南文化を伝える『食べられる名刺』を創出している」と語る。

自由貿易港の制度を活用し本土・海外へ

新華社通信によると、同社は海南自由貿易港の優遇政策を活用し、さらなる事業拡大を目指している。2025年末に予定される島全体で税関を独立させる「封関運営」の開始により、物流の効率化が期待される。すでに同社の製品は、海口美蘭国際空港に設けられた、島と中国本土を隔てる「第二線」の税関ゲートを通じて、北京や陝西省などへ向けて出荷されている。

日本への影響

海南自由貿易港におけるLATIOの成功は、日本企業にとって二つの具体的な機会と一つのリスクを示唆する。まず、海南島独自の特産品と融合させた「海南チョコレート」のように、現地の食材や文化を深く理解し、製品開発に活かすことで、中国市場で差別化されたニッチを開拓できる可能性がある。特に、日本の地域産品や伝統技術と組み合わせた高付加価値製品は、中国富裕層の消費意欲を刺激しうる。

次に、2025年末に予定される「封関運営」は、海南島を中国本土と切り離した独立した税関区とするものであり、関税・非関税障壁の低減が期待される。これは、日本企業が海南島を生産拠点や輸出ハブとして活用し、中国本土のみならず、ASEAN市場への展開を加速させる新たなルートとなり得る。例えば、食品加工や化粧品分野で、海南島での最終加工・パッケージングを通じて、中国本土への輸出コストを削減しつつ、ブランドイメージを向上させる戦略が考えられる。

一方で、LATIOが「食べられる名刺」として海南文化をパッケージデザインに取り入れた事例は、中国市場におけるブランド戦略の重要性を再認識させる。単なる製品供給に留まらず、現地の消費者が共感できるストーリーや文化的な価値を製品に付与できなければ、激化する競争の中で埋没するリスクがある。日本企業は、製品の品質だけでなく、中国の消費者が求める「体験」や「物語」をいかに提供できるか、より戦略的なアプローチが求められる。