HTCは、AI搭載スマートグラス市場へオープンプラットフォーム戦略で本格参入すると発表した。同社のグローバルセールス・マーケティング担当上級副社長である黄昭穎(ファン・チャオイン)氏は、AIの発展速度は非常にに速く、大規模モデルの開発者が巨額の資源を投じて競争を繰り広げていると指摘。同氏は、特定のAIに依存する閉鎖的なエコシステムではなく、複数のAIプラットフォームの長所を活かせるオープンな戦略で市場に臨む方針を強調した。
VIVE Eagle:Gemini・OpenAIなどに対応
HTCの最新モデル『VIVE Eagle』は、グーグルのGeminiやOpenAIなど、複数のAIプラットフォームに対応する。これにより利用者は、特定のプラットフォームに縛られることなく、各社のAIモデルが更新されるたびに最新機能へアクセスできる。
黄氏は、Metaのスマートグラスが自社のMeta AIにしか対応しない点や、シャオミやAlibabaなど中国メーカーの製品が主に中国国内のAIモデルを採用している点を挙げ、HTCの優位性を指摘した。
アジア市場を先行、26年に欧米へ
HTCはまず、今月中に香港でVIVE Eagleを発売する。その後、2025年第1四半期に日本と東南アジア市場へ進出し、2026年には欧米市場への展開も計画している。
黄氏は、アジア市場を先行させる理由として、デザイン上の要因を挙げた。既存のスマートグラスの多くが「西洋人の顔型」を基準に設計されており、アジアの利用者にはフィットしない場合があると同氏は指摘した。さらにHTCは、利用者のデータをAIモデルの学習に使用しない方針を明確にし、プライバシー保護とデータセキュリティを重要な差別化要因と位置付けている。
日本への影響と今後の展望
HTCのAIグラス「VIVE Eagle」の2025年第1四半期日本市場参入は、日本のテクノロジー産業に複数の具体的な影響をもたらす。まず、GoogleのGeminiやOpenAIなど複数のAIプラットフォームに対応するオープン戦略は、日本のAI開発企業にとって新たな連携機会を創出する。特定のAIに依存しないことで、日本のスタートアップや研究機関が開発する特化型AIモデルがVIVE Eagle上で採用される可能性が生まれ、国際的な認知度向上や事業拡大の足がかりとなり得る。
次に、HTCがMetaや中国メーカーの閉鎖的なエコシステムと差別化を図る点は、日本の消費者にとって選択肢の多様化を意味する。特に、XiaomiやAlibabaといった中国勢が中国国内のAIモデルを主に採用する中、VIVE Eagleが多様なAIに対応することで、日本の消費者は自身のプライバシー懸念や特定のAIモデルへの好みに応じて製品を選べるようになる。これは、中国製AI製品への警戒感を持つ層にとって、新たな購買動機となり得る。
最後に、HTCが「西洋人の顔型」基準の既存スマートグラスに対し、アジア市場先行でデザイン上の適合性を重視する点は、日本のAR/VRデバイス開発企業に重要な示唆を与える。日本のメーカーはこれまで、欧米市場を意識したデザインが多い傾向にあったが、HTCのこの戦略は、アジア人特有の顔型や使用環境に最適化された製品開発が、市場競争力向上に直結することを示唆している。これにより、日本のメーカーは国内市場やアジア市場に特化した製品開発に注力し、新たなニッチ市場を開拓する機会を得るだろう。