中国の通信機器大手、ファーウェイ技術(ファーウェイ)が2025年3月31日に発表した年次報告書によると、クラウド事業の2024年における外部顧客向け売上高が321億元(約6兆4200億円)となり、前年比で3.5%の減少を記録した。同事業の減収は近年で初めて。同社は事業再編を加速させ、AI分野に経営資源を集中することで2026年の成長回復を目指す。

大規模な事業再編に着手

ファーウェイは減収を受け、2024年8月にクラウド事業の大規模な組織再編を実施した。この再編では、38の非中核事業を停止し、数十の部門を廃止。1000人以上の従業員をAIネイティブアプリケーション開発などの中核事業へ再配置した。採算性の低い事業から撤退し、高付加価値分野へ資源を集中させる狙いだ。

急成長から一転、初の減収

ファーウェイのクラウド事業は、2021年に売上高が100億元を突破して以来、急成長を続けてきた。しかし、2023年の売上高333億元をピークに、2024年は321億元と初めての減収に転じた。米国の制裁による影響や、中国国内のクラウド市場における競争激化が背景にあるとみられる。

AIネイティブで再起図る

今後の成長戦略として、ファーウェイはAIネイティブアプリケーションの開発を推進し、パブリッククラウドの戦略的な位置づけを強化する方針だ。ファーウェイが発表した年次報告書では、既存の強力な販売網を活用し、国産の計算能力(コンピューティングリソース)を提供する計画も明らかにされている。AIモデル「盤古(Pangu)」を軸に、AIクラウドサービスで市場の再攻略を図る。

日本への影響

ファーウェイクラウドの初の減収とAIシフトは、日本のIT・製造業に直接的な影響を及ぼす。まず、同社が非中核事業38を停止し、AIネイティブアプリケーション開発に経営資源を集中させることは、日本の対中ソフトウェア・サービス輸出機会の縮小を意味する。特に、非AI関連のクラウドサービスやシステムインテグレーションを手掛ける日本企業は、ファーウェイとの協業機会が減少するリスクに直面する。

一方で、ファーウェイがAIモデル「盤古(Pangu)」を軸に国産コンピューティングリソース提供を強化する方針は、日本の半導体・部品メーカーにとって新たなビジネスチャンスとなる。ファーウェイがAI分野で競争力を高めるには高性能な半導体や冷却技術が不可欠であり、これらを供給できる日本企業は、同社のサプライチェーンに食い込む余地がある。特に、米国の制裁下で中国国内での国産化推進が加速する中、日本の技術は代替供給源として重要性を増す可能性がある。

さらに、ファーウェイが2024年に売上高321億元と3.5%の減収を記録したことは、中国クラウド市場の競争激化を示唆しており、日本のクラウドサービスプロバイダーが中国市場へ参入する際の難易度を一層高める。中国市場での成功には、AIネイティブ戦略への対応や、現地企業との連携強化が不可欠となるだろう。