ファーウェイは、自社開発の次期OS「HarmonyOS」の連携機能の対象に、新たにスマートTVを追加した。米国の制裁下で独自の技術エコシステムの構築を急ぐ同社の戦略が浮き彫りになった形だ。中国のテクノロジーメディア『IT之家』が5月3日に報じた。

公式サイトで連携端末リストを更新

ファーウェイは公式サイトを更新し、次期OS「HarmonyOS 5」および「HarmonyOS 6」で利用できる中核機能「スーパーデバイス」の対象製品リストを公開した。対象カテゴリーはスマートフォン、タブレット、PC、イヤホン、スピーカーに加え、今回新たにスマートTVが正式に追加された。正式なプレスリリースではなく、ウェブサイト上の情報更新で判明した。

「スーパーデバイス」でエコシステム強化

「スーパーデバイス」は、HarmonyOSの核となる機能だ。同じアカウントでログインした複数のファーウェイ製品を一つの仮想デバイスのように連携させ、ファイル転送や画面共有などをシームレスに行える。米国の制裁によりGoogleのサービスが利用できなくなったファーウェイにとって、この独自エコシステムの魅力向上は、端末販売を維持・拡大する上で不可欠となっている。

スマートTV連携で家庭内需要の囲い込み狙う

今回の更新で特に注目されるのは、スマートTVが連携対象として正式にリストアップされた点だ。これにより、スマートフォンで視聴していた動画の続きを大画面のスマートTVで再生したり、スマートTVをPCの外部モニターとして利用したりといった連携がよりスムーズになる。リストには「Huawei Vision」シリーズなど多数の製品名が記載されており、家庭内のあらゆるデバイスをHarmonyOSでつなぐことで、ユーザーの囲い込みをさらに進める狙いがあるとみられる。

結論:日本への示唆

ファーウェイによるHarmonyOSのスマートTV連携拡大は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、ソニーやパナソニックといった日本の家電メーカーは、中国市場におけるスマートTV事業で新たな競争圧力に直面する。ファーウェイが「Huawei Vision」シリーズをHarmonyOSエコシステムに深く統合し、スマートフォンとのシームレスな連携を強化することで、中国消費者の囲い込みを加速させるため、日本メーカーは差別化戦略を再考する必要がある。

第二に、日本のコンテンツプロバイダーやアプリ開発企業は、中国市場へのアクセス戦略を見直す機会となる。HarmonyOSが家庭内のデバイス連携を強化し、ユーザーエンゲージメントを高めることで、同OS上でのコンテンツ消費が増加する可能性がある。日本のゲーム会社や動画配信サービスは、HarmonyOS向けアプリ開発やファーウェイとの提携を検討することで、巨大な中国市場における新たな収益源を確保できる可能性がある。

一方で、ファーウェイのエコシステムが強力になるほど、日本の部品メーカーは、同社への依存度が高まるリスクも考慮すべきだ。米国の制裁が継続する中、サプライチェーンの安定性確保は依然として課題であり、代替市場の開拓や技術提携先の多様化が求められる。