ファーウェイが2024年4月、新型スマートフォン「Pura 90」シリーズを中国国内で発表した。米国の制裁が続くなか、独自開発のSoC「Kirin 9030S」とAI技術を融合させたカメラ機能を搭載。最上位モデル「Pura 90 Pro Max」は2億画素の超望遠レンズを備え、ハイエンド市場での存在感を高めている。
中国の通信機器大手ファーウェイは、米国の先端半導体へのアクセス制限が続く中、独自設計の新チップ「Kirin 9030S」を投入。これにより、ハイエンド市場での競争力回復を狙う。新華社通信によると、同シリーズは発売後すぐに大きな注目を集めているという。
独自SoC「Kirin 9030S」とAIによる画像処理
「Pura 90 Pro」および「Pura 90 Pro Max」に搭載された「Kirin 9030S」は、5nmプロセスで製造されたとみられるファーウェイ自社開発の最新SoC(System-on-a-Chip)だ。前世代のチップと比較して、アプリケーションの起動速度を21%、タスク切り替え効率を43%向上させた。
特に画像処理能力の向上が著しく、NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)によるAI性能は200%向上した。これにより、AIカラーエンジンによる画像処理効率が43%改善されたほか、超望遠での動画撮影時の鮮明度は110%向上し、最大100倍のデジタルズームにおける手ブレ補正の精度も30%改善した。光学仕様としては、5,000万画素のメインカメラ(F1.4-4.0可変絞り)に加え、「Pro Max」モデルには2億画素の超望遠レンズを搭載している。
洗練されたデザインと価格戦略
最上位モデルの「Pura 90 Pro Max」は、6.9インチ(1308 x 2880ピクセル)のLTPO OLEDディスプレイを搭載し、無入感の高いパンチホールデザインを採用。背面には光の加減で色調が変化するデュアルトーンのグラデーションメタルフレームを配している。
価格は「Pura 90 Pro」が5,499元(約11.8万円)から、「Pura 90 Pro Max」が6,499元(約14万円)からとなっている。あえて「Ultra」モデルを設定せず最上位機に機能を集中させ、先代モデルより約1,000元引き下げた戦略的な価格設定で、中国国内でのシェア拡大を加速させる構えだ。
日本にとっての意味
ファーウェイの「Pura 90」シリーズ発表は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、ソニーやシャープといった日本のスマートフォン部品メーカーは、ファーウェイの独自SoC「Kirin 9030S」への依存度が高まることで、サプライチェーン戦略の見直しを迫られる。特に、2億画素の超望遠レンズやAIによる画像処理能力強化は、カメラモジュールやイメージセンサーの性能競争を激化させ、日本メーカーはより高付加価値な製品開発で差別化を図る必要が生じる。
次に、中国ハイエンドスマートフォン市場における競争激化は、日本の消費者向けエレクトロニクス企業にとって新たな機会とリスクを提示する。ファーウェイが「Pura 90 Pro Max」を約14万円という戦略的な価格で投入し、中国国内でのシェア拡大を図ることは、競合するアップルやサムスン電子の動向に影響を与える。結果として、日本市場への投入モデルや価格戦略にも波及し、日本の消費者の購買行動に影響を与える可能性がある。
最後に、ファーウェイが米国の制裁下で独自チップ開発を推進し、性能向上を実現している事実は、日本の半導体製造装置メーカーや素材メーカーにとって、中国市場におけるビジネス機会の再評価を促す。中国国内での半導体サプライチェーン構築が加速する中で、日本の技術が不可欠な領域での需要が拡大する一方、中国企業の技術自立が進むことで、将来的な競争環境の変化も考慮する必要がある。