中国の通信機器大手ファーウェイが4月29日に発売した新型スマートフォン「Pura 90」シリーズが好調な販売を記録した。特に「Pura 90 Pro」は発売初日の販売台数が前世代比で225%に達し、米国の制裁を乗り越え、独自半導体でハイエンド市場での復活を印象付けた。
Proモデル、販売台数が前世代比225%増
中国の市場アナリスト「@RD观测」が5月2日に伝えたところによると、4月29日に発売された「Pura 90 Pro」の初日販売台数は、前世代機「Pura 70 Pro」の同期間と比較して約225%に達した。2世代前のモデル比でも約175%を記録しており、世代を重ねるごとに販売の勢いが加速している。この力強い販売実績は、ファーウェイのブランド力と製品への期待が制裁下でも依然として高いことを示している。
独自半導体「Kirin」でハイエンド市場に完全に復帰
Pura 90シリーズは、ファーウェイが独自開発したとみられる新型半導体「Kirin 9030S」を搭載している。同社は米国の輸出規制で一時は半導体の調達が困難になり、スマートフォン事業が大幅に縮小した。しかし、2023年発売の「Mate 60」シリーズで独自半導体を復活させて市場に衝撃を与えており、今回のPura 90シリーズの好調な販売は、同社が技術的制約を克服し、アップルのiPhoneなどが競合する高価格帯市場に完全にに復帰したことを裏付けた。価格は5,499元(約11万8,000円)からとなっている。
最上位モデルの販売は前世代比で微減
一方で、最上位モデル「Pura 90 Pro Max」の初日販売は、前世代「Pura 70 Pro+」と比較して約90%にとどまった。ただし、2世代前のモデル比では約125%増と長期的な成長トレンドは維持している。Proモデルへの販売リソースの集中や、最上位モデルの価格設定、初期の供給量などが販売数に影響した可能性がある。ファーウェイの復活が中国スマートフォン市場の勢力図をどう塗り替えるか、今後の動向が注目される。
日本への影響
ファーウェイの「Pura 90 Pro」が前世代比225%増の販売を記録したことは、日本企業にとって複数の具体的な影響と機会を示唆する。まず、ファーウェイが「Kirin 9030S」のような独自半導体でハイエンド市場に復帰したことは、中国市場における日本企業の部品供給戦略の見直しを迫る。特に、ソニーグループのイメージセンサーや村田製作所の電子部品など、中国のスマートフォンメーカーに供給している日本企業は、ファーウェイがサプライチェーンの国産化をさらに進める可能性を考慮し、代替市場の開拓や技術革新による差別化を加速させる必要がある。
次に、中国国内でのファーウェイのブランド力と販売力の再浮上は、アップルやサムスンといった国際ブランドとの競争激化を意味する。これにより、中国市場でスマートフォン関連製品を展開する日本企業は、販売チャネルやマーケティング戦略において、より中国市場に特化したアプローチが求められる。例えば、ファーウェイの販売網やエコシステムとの連携を模索することで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。
最後に、ファーウェイの復活は、中国の技術自立への強い意志と、それが実現可能であることを示した。これは、日本企業が中国市場で事業を展開する上で、技術移転や共同開発に関するリスクと機会を再評価する契機となる。中国政府の支援を受けたファーウェイのような企業が、今後も特定分野で技術的優位性を確立していく可能性が高く、日本企業は、技術流出防止策の強化と同時に、中国企業との協業を通じた新たなイノベーション創出の可能性も視野に入れるべきである。