香港証券取引所に上場する徽商銀行が発表した2024年度決算によると、純利益が前年比7.21%増の165億2500万元(約3500億円)となるなど増収増益を達成した。総資産は2兆3000億元(約49兆円)を突破し、不良債権率は0.98%に低下。地盤である安徽省の経済との連携を軸に、質の高い成長路線が鮮明になった。
規模・収益・資産の質、三拍子揃った成長
2024年末時点で、徽商銀行の総資産は前年末比15.51%増の2兆3260億8500万元に達した。顧客預金は同11.17%増、顧客向け貸出金も同12.80%増と、預金と貸出がともに二桁成長を記録。これが主にな財務指標の安定的な改善につながった。2024年の営業収益は同1.18%増の376億7000万元、純利益は同7.21%増の165億2500万元となった。
孔慶龍(こう・けいりゅう)頭取は、不良債権の処理が監督当局の目標を上回るペースで進んだと説明した。規模拡大と同時にリスク管理を徹底し、資産の質も向上。不良債権率は前年末比で0.01ポイント低下し0.98%となり、6年ぶりの低水準を記録した。また、貸倒引当金カバー率は278.79%と香港上場の銀行の中でも高水準にあり、自己資本比率も13.77%を維持している。
地域経済との連携を深化、重点分野へ融資拡大
財務指標の着実な改善は、同行の資産構成と地域経済の好循環が深く結びついた結果だ。特に、地盤である安徽省内の融資残高は1兆元の大台を突破し、同行の全融資に占める割合は85%を超える。同省内での不良債権率は0.82%と低く、地域経済への貢献が質の高い低リスク資産基盤の構築につながっていることが、決算報告書で示された。
融資の分野別配分では、科学技術イノベーション、製造業、グリーンファイナンス、そして普恵(ふけい)金融(インクルーシブファイナンス)といった重点分野への資金供給を強化。科学技術関連の融資は前年末比24.7%増の2104億元超、グリーンローン(環境融資)残高は同約46%増の1553億元となり、最も成長が著しい分野だった。中小零細企業や民間企業向けの融資も拡大し、実体経済における企業の資金繰りを支援している。
日本への影響と示唆
徽商銀行の好決算は、日本企業にとって中国内陸部市場における新たな機会とリスクを示唆する。同行の総資産が49兆円を突破し、不良債権率が0.98%に低下した事実は、安徽省経済の安定性と成長余力を浮き彫りにする。特に、科学技術関連融資が24.7%増の2104億元超、グリーンローン残高が約46%増の1553億元となった点は、日本企業が中国市場で競争力を維持・拡大する上で重要だ。
まず、安徽省における科学技術分野への大規模な資金流入は、同省がハイテク産業の集積地として急速に発展していることを意味する。日本の半導体製造装置メーカーや精密機器メーカーは、この成長市場への参入や既存顧客との連携強化を検討すべきだ。例えば、東京エレクトロンやSCREENホールディングスのような企業は、徽商銀行が支援する現地のテクノロジー企業との協業を通じて、新たなビジネスチャンスを創出できる可能性がある。
次に、グリーンファイナンスの急増は、中国の環境規制強化と持続可能な開発へのコミットメントを反映している。日本の環境技術や省エネソリューションを提供する企業、例えばダイキン工業や東芝などは、徽商銀行が融資するグリーンプロジェクトへの参画を模索することで、新たな収益源を確保できる。しかし、地域経済との連携を深める徽商銀行の戦略は、日本企業が中国内陸部市場に進出する際に、現地パートナーシップの重要性が一層高まることを意味する。単なる製品供給に留まらず、地域経済のニーズに合致したソリューション提供が求められるだろう。