米半導体大手インテルが4月27日に発表した2024年第1四半期(1〜3月)決算は、AI事業の好調を背景に売上高・利益ともに市場予想を上回った。この結果を受け、中国のA株市場では半導体関連銘柄が軒並み急騰した。

インテル、Q1決算が予想超え

インテルが発表した第1四半期の売上高は136億ドル(約2兆1300億円)と、前年同期比で7%増加した。これは市場予想の130億ドルを上回る。非GAAPベースの1株当たり利益は0.29ドルで、前年同期の0.13ドルから123%増となり、収益性が大幅に改善した。同社は第2四半期の売上高見通しを138億〜148億ドルとしており、市場回復への自信を示した。

AI事業が22%増収、成長を牽引

業績を牽引したのはAI関連事業の好調だ。データセンターおよびAI事業部門(DCAI)の売上高は51億ドルに達し、前年同期比で22%の大幅な増収を記録した。クライアントコンピューティング事業部門(CCG)は77億ドル(同1%増)、半導体受託製造のインテル・ファウンドリー事業も54億ドル(同16%増)と堅調に推移し、製造能力と競争力の高さを示した。

インテルのデビッド・ジンズナー最高財務責任者(CFO)は、この好業績について「AI時代におけるCPUの重要性の高まり、半導体への前例のない需要、そして供給能力拡大への厳格な取り組みが反映されたものだ」と説明した。同社は今後も生産能力を最大限に活用し、顧客需要に応える方針だ。

中国市場に波及、半導体株が軒並み急騰

インテルの好決算を受け、4月27日の中国A株市場では半導体関連銘柄が軒並み上昇した。帝奥微、華興源創、欧莱新材、傑創智能は制限値幅の上限(ストップ高)である20%高を記録。このほか、芯源微が17%超、瑞華泰と鎧威特が15%超、富瀚微と鼎陽科学技術も13%超の大幅高となった。インテルの好材料が、中国国内の半導体産業に対する回復期待を後押しした形だ。

AIが促す半導体需要の構造変化

インテルの業績を支えるAI向けの演算能力や半導体製造能力への需要増は、世界的な共通トレンドとなっている。生成AIや自動運転などの発展に伴い、AIサーバーに求められる演算能力は指数関数的に増加している。AIサーバーは従来のサーバーに比べ、チップの演算能力やデータ転送速度などで大幅な高性能化がしなければならないとなり、チップサイズの大型化や材料使用量の増加を促している。

ゴールドマン・サックスの最新レポートは、AIサーバー需要の拡大により、半導体部品・材料の需給逼迫が2027年以降も続く可能性があると指摘する。AI需要を背景に、サプライチェーン全体で数量と価格が同時に上昇する好循環が生まれている。特に、AIサーバー向けHBM(高帯域幅メモリー)への旺盛な需要が生産能力を圧迫し、DRAMとNAND型フラッシュメモリーの価格高騰を招いている。

日本企業への示唆

インテルの好決算が中国半導体市場に与えた波及は、日本企業にとって二つの機会と一つのリスクを提示する。まず、データセンターおよびAI事業部門(DCAI)の売上高が前年同期比22%増の51億ドルに達したことは、AI向け半導体製造装置や素材を提供する日本企業にとって大きなビジネスチャンスとなる。特に、東京エレクトロンやSCREENホールディングスといった半導体製造装置メーカーは、インテルの生産能力拡大方針から直接的な恩恵を受ける可能性が高い。

次に、中国A株市場で帝奥微や華興源創が20%高を記録するなど、半導体関連銘柄が軒並み急騰した事実は、日本企業が中国のAI関連スタートアップや半導体設計企業との連携を強化する好機となる。中国国内のAI需要の高まりは、日本のAIソフトウェア開発企業やAIサービスプロバイダーにとって、新たな顧客層を開拓する足がかりとなるだろう。

一方で、ゴールドマン・サックスが指摘する2027年以降の半導体部品・材料の需給逼迫は、日本企業にとって原材料調達コストの上昇リスクとなる。特に、HBM(高帯域幅メモリー)の需要増がDRAMとNAND型フラッシュメモリーの価格高騰を招いている現状は、半導体を使用する日本の電機メーカーや自動車メーカーの収益を圧迫する可能性がある。サプライチェーンの多様化や代替材料の開発が喫緊の課題となる。