対話型AI「ChatGPT」を開発する米OpenAIは2月27日、プレマネー評価額7300億ドル(約110兆円)で、1100億ドル(約16.5兆円)の新たな資金調達を完了したと発表した。調達後の企業価値は8400億ドル(約126兆円)に達する。併せて、半導体大手エヌビディアとの提携を拡大し、AIの学習・推論に必要な計算能力を大幅に増強する。

1100億ドルの大型調達、企業価値は8400億ドルに

今回の資金調達には、ソフトバンクグループから300億ドル、エヌビディアから300億ドル、アマゾンから500億ドルが含まれる。OpenAIが発表した内容によると、この資金調達は同社のAI研究開発をさらに加速させることを目的としている。

今回の資金調達により、OpenAI Foundationが保有する株式価値は1800億ドル以上に増加する見込みだ。同社はこれを受け、ヘルスケアやAI分野における慈善活動を拡大する方針を示している。

エヌビディアと提携拡大、計算能力を大幅増強

OpenAIは資金調達と同時に、エヌビディアとの長期的な提携を拡大することも明らかにした。この提携には、推論用に3ギガワット (GW)、Vera Rubinシステムでの訓練用に2GWの専用計算能力を活用することが含まれる。

この新たな取り組みは、マイクロソフト、オラクル・クラウド・インフラストラクチャー(OCI)、CoreWeaveの各プラットフォームで既に展開されているエヌビディアの「Hopper」および「Blackwell」アーキテクチャを基盤とする。これにより、OpenAIは大規模言語モデル(LLM)の開発と運用能力を飛躍的に向上させる狙いだ。

日本の関連性

OpenAIの巨額資金調達は、日本企業にとってAI開発競争の激化と半導体サプライチェーンにおける新たなリスクを提示する。まず、エヌビディアとの提携拡大により、OpenAIは推論用に3GW、訓練用に2GWもの専用計算能力を確保する。これは、日本のAI開発企業が、高性能AIモデルを構築・運用するために必要な計算リソースの確保において、OpenAIとの格差がさらに広がることを意味する。特に、生成AI分野で競争力を持つ日本企業は、この計算能力の差を埋めるための戦略的投資か、特定のニッチ市場での差別化を迫られる。

次に、ソフトバンクグループやエヌビディアからの巨額出資は、AI開発における資金力と技術力の集中を加速させる。日本国内のスタートアップや大手企業が、この資金力と技術力を持つ企業群に対抗するには、自社の強みを明確にし、国際的な提携を強化する必要がある。例えば、半導体製造装置分野で強みを持つ東京エレクトロンのような企業は、エヌビディアのHopperやBlackwellアーキテクチャに対応した次世代装置の開発を加速させることで、AI計算能力の増強を支える重要なプレーヤーとしての地位を確立できる。しかし、もし日本の半導体関連企業がこの技術革新の波に乗り遅れれば、AI開発の基盤となるインフラ供給において、国際的な競争力を失う可能性も孕む。