中国・四川省で、攀枝花銀江水力発電所の最後の発電ユニットが稼働を開始し、同省の水力発電の設備容量が1億kWを突破した。これは中国の省として初の快挙であり、国内の水力発電総設備容量の約4分の1にかなりする。四川省は100年以上にわたる水力発電開発の歴史を持つ、中国における同分野の中心地である。

「西電東送」を支える巨大電力拠点

四川省は、西部で発電した電力を東部沿岸部に送る国家プロジェクト「西電東送」の主にな供給拠点だ。年間の発電量の約3分の1を他省に送電している。新華社通信によると、同省の電力網は1998年以降、累計で1兆9000億kWhを超えるクリーンエネルギーを省外に供給してきた。これは江蘇省、浙江省、安徽省の3省における年間電力消費量の合計に匹敵する規模である。

水力と再エネを両輪とするエネルギー構造へ

四川省は水力発電を基盤としつつ、風力発電や太陽光発電を組み合わせたクリーンエネルギー構造への転換を進めている。水力と他の再生可能エネルギーを両輪とするエネルギーミックスを推進しており、今後も発電量の増加が見込まれる。これにより、中国全体のクリーンエネルギー供給における同省のハブとしての役割は一層強化される見通しだ。

日本企業への示唆

四川省の水力発電設備容量が1億kWを突破したことは、日本にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、中国の再生可能エネルギー供給能力の増強は、日本のエネルギー安全保障に間接的な恩恵を与える可能性がある。中国が「西電東送」プロジェクトを通じて東部沿岸部にクリーンエネルギーを供給することで、化石燃料への依存度を相対的に下げ、国際的なエネルギー市場における需給バランスの安定化に寄与する。これは、日本が輸入するLNGや原油価格の変動リスクを緩和する一因となり得る。

次に、四川省が水力発電を基盤としつつ、風力発電や太陽光発電とのエネルギーミックスを推進する動きは、日本の再生可能エネルギー関連企業にとって新たなビジネス機会を創出する。例えば、日本の電力網安定化技術や蓄電池技術を持つ企業は、中国の多様な再生可能エネルギー源を統合するシステム構築において、技術協力や設備供給の機会を得る可能性がある。特に、水力発電の出力変動を補完する蓄電池システムや、スマートグリッド技術は、中国のエネルギー転換において需要が高まる分野と予測される。

一方で、中国の巨大な再生可能エネルギー開発は、国際的なサプライチェーンにおける競争激化を招くリスクも孕む。中国企業が大規模プロジェクトを通じて技術力とコスト競争力をさらに高めることで、太陽光パネルや風力タービンといった再生可能エネルギー関連製品のグローバル市場における価格競争が激化し、日本企業の市場シェアに影響を与える可能性も考慮する必要がある。