イーロン・マスク氏が率いるチームが、宇宙太陽光発電(SBSP)構想の実現に向け、中国の太陽光発電関連企業を視察した模様だ。高効率な太陽光パネルを実現するヘテロ接合技術(HJT)に関心を示し、すでに一部企業へ発注したとの見方も出ている。

宇宙太陽光発電に向けた動き

マスク氏のチームは最近、中国の複数の太陽光発電企業を訪問した。特に注目されるのが、宇宙空間で太陽光発電を行い、その電力を地球や人工衛星、宇宙ステーションに供給する「宇宙太陽光発電」への強い関心だ。

マスク氏自身、この技術の将来性を非常にに有望視しており、自身の計画として2030年までに100GW規模の宇宙太陽光発電網を構築する目標を掲げているとされる。この壮大な構想の実現には、高性能かつ低コストな太陽光発電設備が不可欠となる。

中国企業に新たな商機

この動きは、中国の太陽光発電業界にとって大きな商機となる可能性がある。一部の業界メディアによると、業界大手のジンコソーラー(晶科能源などが、マスク氏のチームからヘテロ接合技術(HJT)関連設備の注文を受けたとされる。

ジンコソーラーは以前から宇宙空間での利用を想定した技術開発を進めており、今後のプロジェクトで中心的な役割を担う可能性がある。マスク氏の視察と設備発注は、高い技術力を持つ中国の太陽光発電企業にとって、宇宙という新たな市場を開拓する絶好の機会となり、同分野での世界的なリーダーシップ獲得に向けた動きが加速するとみられる。

日本市場への影響

イーロン・マスク氏が率いる宇宙太陽光発電(SBSP)構想における中国企業との連携は、日本の産業界に直接的な影響を及ぼす。第一に、ジンコソーラーのような中国企業がHJT技術でマスク氏のチームから受注したことは、日本の太陽光発電関連企業が宇宙空間という新たな巨大市場への参入機会を逸するリスクを示唆する。2030年までに100GWという目標規模は、地上設置型とは異なる宇宙環境に特化した高性能・高信頼性パネルの需要を創出するが、中国勢が先行すれば日本企業の競争力は低下する。

第二に、マスク氏が中国のサプライチェーンを重視する姿勢は、日本の宇宙開発産業における部品調達戦略に再考を促す。これまで日本企業は欧米との連携を主軸としてきたが、コストと供給安定性を追求するマスク氏の選択は、中国製部品の品質向上と価格競争力を浮き彫りにする。日本の宇宙ベンチャーや大手電機メーカーは、中国製部品の採用を検討せざるを得ない状況に直面する可能性がある。

第三に、宇宙太陽光発電という新技術分野における中国の台頭は、日本の技術開発戦略に警鐘を鳴らす。日本は宇宙技術で一定の優位性を持つものの、HJTのような基盤技術での競争力を失えば、将来的な宇宙インフラ構築において中国への依存度が高まる恐れがある。これは安全保障上のリスクにも繋がりかねないため、日本政府は宇宙太陽光発電技術への戦略的な投資を加速させる必要がある。