中国の総合サプライチェーン・物流サービス大手、百世集団(Best Inc.)はこのほど、中南米市場へ正式に進出したと発表した。最初の拠点としてメキシコで事業を開始し、今後ブラジルやアルゼンチンなど同地域の主に市場へ段階的にサービスを拡大する計画だ。

メキシコを足がかりに事業拡大

百世集団は、メキシコでの事業立ち上げを中南米展開の第一歩と位置づけている。同社は急成長する越境EC(電子商取引)の物流需要に対応するため、現地の通関や倉庫保管、配送まで一貫したサプライチェーンサービスを提供する。

今後は、メキシコでの実績を基に、ブラジルやアルゼンチンといった他の主に市場への進出を段階的に進める方針だ。これにより、中国やアジアと中南米を結ぶグローバルな物流ネットワークの構築を加速させる。

成長市場・中南米の越境EC需要を狙う

中南米は、世界的に見てもEC市場の成長が著しい地域の一つだ。特に、パンデミックを経てオンラインショッピングが急速に普及しており、国際物流の需要が高まっている。

百世集団の進出は、こうした市場の潜在性に着目した戦略的な動きと見られる。同社はすでに東南アジアなどで物流網を拡大しており、そのノウハウを中南米市場でも活用し、競争優位性を確立する狙いだ。

まとめ:日本への示唆

中国物流大手百世集団(Best Inc.)のメキシコ進出は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、中南米市場における物流コストの変動リスクである。百世集団がブラジルやアルゼンチンへの展開を計画し、競争が激化すれば、日系製造業が同地域で展開するサプライチェーンの物流費が一時的に低下する可能性がある。しかし、中国勢の寡占が進めば、将来的に運賃が上昇に転じるリスクも孕む。

次に、日本企業の現地パートナー選定における再考が迫られる。百世集団は通関、倉庫保管、配送まで一貫したサプライチェーンサービスを提供するとされており、これは既存の日系物流企業や提携先の現地企業との競合を意味する。例えば、自動車部品メーカーがメキシコで現地生産を行う場合、これまでの物流パートナーシップを見直し、効率性やコスト競争力で優位に立つ中国系企業との連携も選択肢として浮上するだろう。

さらに、日系EC事業者の市場機会創出も考えられる。中南米のEC市場はパンデミックを経て急速に普及し、国際物流の需要が高まっている。百世集団の進出により、中国発の越境ECが活発化する一方で、日本のアパレルやアニメグッズなど、中南米で人気のある製品を扱う日系EC事業者が、同社の確立した物流網を利用することで、これまで以上に効率的かつ低コストで現地消費者へリーチできる機会が生まれる。これは、新たな市場開拓の足がかりとなり得る。