Googleが開発した生成AI「Gemini」が、旅行計画から予約までを直接支援する機能を強化したことで、オンライン旅行代理店(OTA)のビジネスモデルが揺らいでいる。これを受け、世界最大手のBooking HoldingsやExpedia Groupの株価は直近1週間で大幅に下落した。

生成AIが旅行仲介を代替

テクノロジーの進化、特に生成AIの発展が旅行業界に大きな変革をもたらしている。GoogleのGeminiのような高度なAIは、利用者の曖昧なリクエストから具体的な旅行プランを生成し、フライトやホテルの予約までをシームレスに実行できる。これにより、従来OTAが担ってきた仲介機能をAIが代替する可能性が現実味を帯びてきた。

米国の技術メディアによると、この機能はOTAを介さずに航空会社やホテルと利用者を直接結びつけるもので、既存のビジネスモデルを根幹から覆しかねない。利用者は単一のプラットフォームで、情報収集から予約までを完結できるようになる。

大手OTAの株価が軒並み下落

AIによる代替リスクが市場で強く意識された結果、大手OTAの株価は大きく値を下げた。ホテル予約最大手のBooking Holdingsの株価は直近1週間で10%、北米旅行最大手のExpedia Groupは同15%の下落を記録した。この動きは、投資家が生成AIの進化をOTAの収益機会に対する直接的な脅威と捉えていることを示唆している。

AIは旅行体験の向上においても重要な役割を担う。利用者の好みや過去の旅行履歴に基づき、パーソナライズされた旅行プランや宿泊先を提案することで、顧客満足度を高めることが可能だ。OTA各社もAI開発を進めているが、検索エンジンという巨大な顧客接点を持つGoogleの優位性は揺るぎないと見られている。

日本への影響と示唆

Googleの生成AI「Gemini」による旅行計画の直接支援機能強化は、日本の旅行業界に明確な影響をもたらす。まず、日本国内のOTA、特にJTBや楽天トラベルといった大手は、Booking HoldingsやExpedia Groupが直近1週間でそれぞれ10%、15%もの株価下落を経験したように、仲介手数料収入の減少リスクに直面する。Geminiがフライトやホテル予約までを直接実行できるようになれば、既存のOTA経由の予約が減少し、収益構造の再構築が急務となる。

次に、日本の航空会社やホテルチェーンにとっては、Googleという巨大な顧客接点を通じた直接予約の機会が拡大する。これは、OTAへの依存度を下げ、手数料負担を軽減するチャンスである。例えば、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)は、Geminiとの連携を通じて、よりパーソナルな旅行体験を直接顧客に提供できるようになる。

最後に、日本を訪れるインバウンド旅行者にとって、Geminiの利用は旅行計画の利便性を飛躍的に向上させる。言語の壁を越え、個々のニーズに合わせた旅行プランがシームレスに提供されることで、訪日旅行のハードルが下がり、観光消費の拡大に寄与する可能性がある。ただし、これは同時に、日本の旅行関連企業がGoogleのプラットフォーム戦略にどう適応するかの課題も突きつける。