テスラが1月29日に発表した2025年第4四半期決算は減収減益となり、同社はAI(人工知能)と半導体の自社開発を加速させる方針を明らかにした。中核の自動車事業が伸び悩む中、新たな成長分野への投資を本格化させる。
2025年第4四半期決算は減収減益
同社の決算報告によると、2025年第4四半期(10〜12月期)の売上高は、前年同期比3%減の249億ドルだった。中核である自動車事業の売上高も同11%減の177億ドルに落ち込んだ。純利益は同61%減の8.4億ドルとなり、厳しい決算内容となった。
AIモデル「Grok」開発を強化
テスラは業績回復の鍵としてAI開発に注力する方針だ。特に、大規模言語モデル(LLM)「Grok」と関連アプリの開発を推進している。「Grok」はテスラ車に搭載され、自然言語による目的地設定などを可能にする。将来的には、この技術を自動運転精度の向上や、スマートコックピット機能の拡充にも活用する計画だ。
半導体工場「TeraFab」で内製化を推進
さらにテスラは、半導体の自社開発・生産にも乗り出す。AIや自動運転に不可欠な高性能チップを生産するため、半導体工場「TeraFab」を建設する予定だ。テスラのイーロン・マスクCEOは、「現在の外部のファウンドリ(半導体受託製造企業)に依存するモデルの限界を超えるため、自社でチップを生産する必要がある」と述べ、内製化の重要性を強調した。これは、サプライチェーンの安定化と技術的優位性の確保を狙った動きとみられる。
日本にとっての意味
テスラのAI・半導体への軸足転換は、日本企業に複合的な影響をもたらす。まず、テスラが「TeraFab」での半導体内製化を推進する動きは、日本の半導体製造装置メーカーや素材メーカーにとって、新たな商機となる可能性がある。特に、高性能チップ製造に必要な先端技術を持つ企業は、テスラからの受注獲得や技術提携を通じて、収益拡大の機会を得るだろう。
一方で、テスラが「Grok」をテスラ車に搭載し、自動運転やスマートコックピット機能の拡充を図ることは、日本の自動車メーカーにとって競争激化を意味する。テスラがAI技術で先行し、ユーザーエクスペリエンスを向上させれば、日本の自動車メーカーは、単なるEV性能だけでなく、ソフトウェアとハードウェアの融合による付加価値創造で遅れを取るリスクがある。このため、日本の自動車メーカーは、AI技術の内製化や、国内のAI開発企業との連携を加速させる必要に迫られる。
さらに、テスラの2025年第4四半期における売上高3%減、自動車事業11%減という数値は、EV市場の成長鈍化を示唆しており、日本の自動車部品サプライヤーにとっては、EVシフトのペースと戦略の見直しを迫る。テスラがAI・半導体投資を加速させることで、EV本体の価格競争が激化し、部品単価の引き下げ圧力が強まる可能性も考慮すべきだ。