トランプ政権下の米国防総省が、ドイツに駐留する米軍約5,000人を撤退させる計画を進めていることが米メディアの報道で明らかになった。ドイツ有力政治家による米国のイラン政策批判が引き金とみられ、北大西洋条約機構 (NATO) の結束を揺るがす動きとして注目される。

イラン政策巡る対立が引き金か

米メディアが匿名の国防総省高官の話として報じたところによると、国防総省はドイツからの米軍約5,000人の撤退を計画している。この背景には、ドイツの有力政治家フリードリヒ・メルツ氏による米国のイラン政策への批判があったとされる。メルツ氏は米国の軍事姿勢を「無計画だ」と批判しており、これにトランプ大統領 (当時) が激しく反発した。

トランプ氏、欧州同盟国を次々批判

メルツ氏の発言に対し、トランプ大統領は「何も分かっていない」と反論し、SNS上でドイツ駐留米軍の削減を示唆した。さらに、スペインやイタリアからの米軍削減の可能性にも言及。「なぜ削減してはいけないのか?イタリアは何の助けにもなっていない。スペインの対応はひどいものだ」と述べ、イラン問題で非協力的な欧州の同盟国を痛烈に批判した。

ドイツは冷静な反応、日本への影響は

一連の動きに対し、ドイツのヨハン・ヴァーデフール外務副大臣は「備えはできている」と冷静な受け止めを示した。国防総省のデータによると、当時ドイツには3万6,000人以上の米軍現役兵士が駐留していた。トランプ政権が同盟国に対し、防衛費の負担増や政策面での同調をより強く求める姿勢の表れであり、駐留経費負担を巡る交渉を抱える日本にとっても他人事ではない動きであった。

日本企業への示唆

トランプ政権によるドイツ駐留米軍約5,000人の削減計画は、日米同盟の維持コストと日本の防衛戦略に直接的な影響を及ぼす。まず、在日米軍の駐留経費負担を巡る交渉において、米国がドイツのフリードリヒ・メルツ氏のイラン政策批判に端を発した削減を強行した事例は、日本側が米国の要求を拒否した場合の撤退リスクを具体的に示唆する。特に、トランプ氏が「イタリアは何の助けにもなっていない」「スペインの対応はひどいものだ」と述べたように、同盟国の政策協力が駐留軍の規模に直結するという前例は、日本の外交姿勢に制約を与える可能性がある。

次に、ドイツのヨハン・ヴァーデフール外務副大臣が「備えはできている」と述べたように、同盟国が米軍撤退に際して自国の防衛力強化を迫られる可能性が高い。これは、在日米軍の再編や撤退が進んだ場合、日本が自主防衛能力の拡充を迫られることを意味し、防衛費の大幅な増加や新たな兵器システムの導入が不可避となる。

最後に、NATOの結束が揺らぐ事態は、米国の安全保障資源が分散し、インド太平洋地域へのコミットメントが相対的に低下するリスクを孕む。特に中国の軍拡が続く中で、米軍のプレゼンス低下は日本の安全保障環境を一層厳しくし、日米同盟の抑止力維持に向けた日本の役割拡大が求められるだろう。