世界の原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を巡り、米国とイランの軍事的緊張が再び高まっている。米中央軍は4日、商船護衛を発表した一方、イラン側は米軍艦へのミサイル攻撃を主張。双方の主張は食い違っており、航行の安全への懸念が強まっている。

米軍、駆逐艦派遣で「航行の自由」確保

米中央軍は4日、SNSへの投稿で、米海軍のミサイル駆逐艦がホルムズ海峡をを通じてし、ペルシャ湾(アラビア湾)に入ったと発表した。これは「航行の自由」作戦を支援し、商業船舶の安全な航行を確保する措置だと説明した。

発表によると、この作戦の一環として、すでに米国籍の商船2隻がホルムズ海峡を無事にを通じてし、安全な海域を航行中だ。米軍は「商業航行の通行回復を積極的に支援している」と強調した。

イラン側は「ミサイル攻撃」と主張、情報錯綜

一方、イランのファルス通信は同日、イラン海軍の警告したを無視した米軍艦1隻がミサイル攻撃を受け、退却を余儀なくされたと報じた。また、タスニム通信も関係者の話として、イラン軍が米軍艦艇に発砲したと伝えた。

しかし、米中央軍はこの報道を「事実ではない」と全面的に否定し、情報が錯綜している。この一連の報道を受け、国際原油価格は一時的に乱高下した。4日時点でブレント原油先物は1バレル109ドル台、WTI原油先物は102ドル台まで上昇幅を縮小するなど、市場は事態を注視している。

革命防衛隊、「違反船は拿捕」と警告した

イランの精鋭部隊であるイスラム革命防衛隊は4日、ホルムズ海峡で規則に違反した船舶は「強制的に拿捕する」と警告したした。国営イラン通信が報じた。革命防衛隊の報道官は、通常の通行ルールに従う民間船の安全は保障されるとしつつ、「規定に準拠しないいかなる海上活動もリスクに直面する」と述べ、海運会社などに注意を促した。

これを受け、国際海事機関(IMO)も同海域を航行する船舶に対し「最大限の警戒」を続けるよう呼びかけた。ホルムズ海峡の緊張は、世界のエネルギー供給網に直接的な影響を及ぼすため、今後の動向が注目される。

日本への影響と今後の展望

ホルムズ海峡における米イランの緊張は、日本経済に直接的な影響を及ぼす。まず、日本は原油輸入の大部分を中東に依存しており、ホルムズ海峡の封鎖や航行リスク増大は、原油調達コストの急騰を招く。ブレント原油先物が一時1バレル109ドル台まで上昇したように、原油価格の乱高下は日本の製造業や物流コストに直結し、企業収益を圧迫する。特に、電力会社や石油化学メーカーは、燃料費・原料費の高騰で経営環境が厳しくなる。

次に、イランの革命防衛隊が「規則に違反した船舶は強制的に拿捕する」と警告したことは、日本郵船や商船三井といった日本の海運会社にとって大きなリスクとなる。航行保険料の引き上げや、最悪の場合、船舶拿捕による運航停止は、サプライチェーンの混乱と多大な経済的損失を招く。特に、液化天然ガス(LNG)輸送船など、日本がエネルギー供給で依存する船舶の安全確保は喫緊の課題である。

最後に、米イラン双方の主張が食い違う情報錯綜状況は、日本企業の投資判断を困難にする。中東地域への新規投資や既存事業の継続性について、不確実性が高まるため、企業は慎重な姿勢を強いられる。これは、中東市場での事業拡大機会を逸失する可能性も示唆する。日本政府は、国際海事機関(IMO)と連携し、航行の安全確保に向けた情報収集と外交努力を強化する必要がある。